お口の中に石ができる!?!?

[2023年05月30日]

こんにちは

わたしたちの身体に生じる石って何をイメージされますか?

胆石でしょうか?

それとも尿路結石でしょうか?

実は、お口の中にも石ができます。

お口の中に石ができると聞くと驚かれる方もおられるかもしれません。

今回は、お口にできる”石”についてご紹介します。

 

お口にできる石って?

お口にできる石は、歯石、唾石、扁桃結石など3種類が挙げられます。

お口の周囲まで範囲を広げると、頭頸部には耳の中にできる耳石、静脈にできる静脈石などもあります。

 

歯石

歯石は、歯と歯肉の間あたりの歯の表面についているくすんだ白色をしているかたまりのことです。

石のように硬いことから、歯石とよばれるようになりました。

 

歯石のつきやすいところ

歯石は、唾液腺の出口付近に生じやすいです。

このため、下顎の前歯の裏側によくついています。

また、上顎の奥歯にも生じやすいですが、これらに限らず、どの歯にでも生じます。

 

原因

歯石の原因は、プラークです。

プラークは細菌の塊です。

このため、近年はバイオフィルムともよばれるようになりました。

虫歯や歯周病の原因菌もこの中にいます。

プラークが唾液に含まれるカルシウムと結びついて石灰化することで歯石が作られます。

早ければ、1週間ほどでプラークが歯石に変わります。

 

成分

歯石の成分は、リン酸カルシウムが最も多く、炭酸カルシウムやリン酸カルシウムが続きます。

 

症状

歯石自体には、病原性はありません。

しかし、歯石の表面は目に見えない大きさの凸凹が無数にあり、新たなプラークが付着する温床になっています。

プラークは虫歯や歯周病などの歯の健康トラブルの原因ですので、歯石は間接的に歯の病気の原因となります。

 

治療法

歯石は歯磨きでは取れません。

歯科医院でスケーラーという専用の器械を使って取り除きます。

スケーラーには2種類あり、超音波振動で取り除く超音波スケーラーと、手作業で取り除くハンドスケーラーです。

超音波スケーラーは、たくさんついている歯石を短時間で効率よく取り除けます。

ハンドスケーラーは、たくさん取り除くのには適していませんが、細かなところまできれいに取り除けます。

 

唾石

唾液を作り出す組織を唾液腺と言いますが、唾石は唾液腺に生じる石です。

唾液腺本体にできることもあれば、導管という唾液腺と唾液の出口を結ぶトンネルの中にできることもあります。

 

唾石ができやすいところ

唾液腺は大きなものが顎下腺・舌下腺・耳下腺の3種類、小さな小唾液腺が無数にあります。

小唾液腺に唾石が生じることはなく、唾石はもっぱら大唾液腺に生じます。

大唾液腺なら均等に生じるかというとそうでもなく、頻度の高いのが顎下腺でおよそ8割を占めます。

大唾液腺での唾石の発生頻度に差が生じる理由は、作り出される唾液の性状の違いです。

例えば、顎下腺から作り出される唾液は、粘稠性の高い唾液です。

耳下腺の唾液はサラサラした唾液です。

粘稠性の高い方が流れが悪いので、唾石ができやすいというわけです。

 

原因

唾石の原因は、唾液腺の出口から逆流して入り込んだ細菌や剥がれた粘膜の一部などの異物です。

こうした異物に唾液に含まれるカルシウムなどがくっつくことで唾石が作られると考えられています。

 

 

成分

唾石の成分は、生じた唾液腺の種類に関係なく、リン酸カルシウムと炭酸カルシウムです。

 

症状

唾石ができると、唾石が唾液の排出を妨げるので、唾液の出が悪くなります。

食事のときには、唾液の分泌が活発化するので、唾石の症状は、食事のときの唾石が生じた唾液腺の腫れと、それに伴う痛みです。

時間が経つと腫れと痛みは緩和されますが、食事のたびに繰り返すことになります。

唾石が細菌感染を起こすと、膿が出ることもあります。

 

治療法

唾石の治療法は、小さな唾石では自然に出てくることもあるので、経過観察です。

しかし、自然に出てこない場合や、自然に出てくることが期待できないほどの大きな唾石に対して摘出術です。

唾液腺の出口に近い場合は、お口の中から局所麻酔で摘出できますが、6歳臼歯よりも奥に生じている唾石の場合は、全身麻酔で顎の下側から摘出を図ります。

 

扁桃結石

扁桃結石とは、扁桃腺の表面にある陰窩(いんか)という小さな窪みに生じた結石です。

膿栓(のうせん)ともよばれます。

多くの場合は、咳やくしゃみで自然に出ていきます。

大きくなると、炎症を起こし、喉の痛みの原因になります。

潰すととても臭いので、一般的には臭玉(くさだま)、臭い玉などとよばれています。

頻度は3~8%ほどですが、ほとんどがごく小さいサイズで、大きなものはほとんどありません。

 

原因

扁桃結石は、口蓋部分の扁桃腺や咽頭内の扁桃の陰窩に、細菌や剥がれた粘膜などの異物が入り込み、そこに残ったままになることで生じます。

 

成分

扁桃結石の成分は、リン酸カルシウムですので、歯石や唾石と同じです。

 

症状

扁桃結石ができると、喉の入り口付近に丸い隆起が生じます。

このため、食べ物や飲み物を飲み込むときに違和感が出ることが多いです。

大きなものが炎症を起こすと、喉の痛みを覚えるようになります。

無症状の扁桃結石も見られます。

 

治療法

扁桃結石の治療法は、小さければそのまま様子を見て自然に出るのを待つ経過観察、少し大きければ、もしくは小さくても炎症を繰り返す場合は摘出術です。

扁桃結石はお口にできる石ですが、摘出術は歯科や口腔外科ではなく耳鼻咽喉科で受けていただきます。

局所麻酔でできる処置なので、入院の必要はありません。

 

まとめ

今回は、お口の中にできる石についてお話ししました。

お口の中にできる石としては、

①歯石

②唾石

③扁桃結石

など3種類が挙げられます。

このうち、歯石と唾石は歯科で治療できますが、扁桃結石については耳鼻咽喉科を受診するようにしてください。

 



mapを見る

電話をかける