
乳歯が抜けない“幽霊歯”現象とは?
[2025年07月21日]
はじめに
乳歯が抜けるタイミングやメカニズムをお伝えするとともに、乳歯が抜けない原因、対処法についてご紹介します。乳歯が晩期残存していても支障がない場合もありますが、デメリットもあるので、その場合の対処法も解説しています。
目次
- ◯乳歯が抜けるタイミング
- 乳歯の抜ける時期と後続永久歯が生えてくる時期
- 乳歯はどうやって抜けるの?
- ◯乳歯が抜けるメカニズム
- ◯乳歯が抜けない原因
- ◆永久歯の形成が遅れている
- ◆永久歯の先天欠如
- ◆永久歯が埋伏している
- ◆その他
- ◯乳歯が残るとどうなるか
- ◆審美性の問題
- ◆咬みにくい
- ◆歯並びが悪くなる
- ◯乳歯が抜けない場合の治療法
- ◆抜歯
- ◆乳歯をそのまま残しておく
- ◆矯正治療
- ◯まとめ
乳歯が抜けるタイミング
乳歯が永久歯に生え変わる時期は個人差はありますが、大方決まっています。
6歳~12歳頃は乳歯が永久歯に生え変わり、乳歯と永久歯がお口の中に混在している混合歯列期と呼ばれている時期です。
では、具体的に乳歯が抜ける時期、後続永久歯が生えてくる時期をみていきましょう。
乳歯の抜ける時期と後続永久歯が生えてくる時期
個人差も大きく、上下の歯でも抜ける時期・生え変わる時期は異なります。
この時期を大きく逸脱している場合は、何らかの異常がある可能性があるので、歯科医院で相談しましょう。
乳歯はどうやって抜けるの?
乳歯が抜けたときを覚えていますか。食事中に抜けた、噛んでいたら抜けた、歯科医院で抜いてもらった、ご自宅で引っ張って抜いた、など色んなパターンがあると思います。
基本的に、乳歯がグラグラしてくると自然に抜けるまで放っておいて構いませんが、以下の場合は抜歯を考えましょう。
- ・永久歯がはえてきているのに抜けない
- ・大きなむし歯がある
- ・本来はえる位置より大幅にずれている
- ・永久歯のスペースを圧迫している乳歯
乳歯が抜けるメカニズム
乳歯の下の骨の中に永久歯の元である歯胚があります。この歯胚が成長することで乳歯が抜け、永久歯に生え変わります。
こちらでは乳歯が抜けるメカニズムをご紹介します。
- 乳歯の下で永久歯の元となる歯胚が成長する
- 歯胚が完成する
- 乳歯の歯根を溶かして吸収しながら、歯胚が上に出ようとする
- 乳歯の歯根が短くなりグラグラし始め、抜ける
乳歯が抜けない原因
では、本来自然に抜けるはずの乳歯が抜けないのはどうしてでしょうか。何パターンか原因が考えられるので一つずつ詳しくご紹介します。
永久歯の形成が遅れている
永久歯の元である歯胚が成長しなければ、乳歯の歯根が吸収されないので、乳歯がぐらつきません。
この場合は、永久歯がはえてくるまで経過観察することが多いです。
歯胚の様子や乳歯の歯根の吸収度合いは、X線写真で確認することができます。
永久歯の先天欠如
まれに、永久歯の歯胚がない場合があります。先天性欠損や無歯症と呼ばれ、乳歯の後続永久歯がない状態です。この場合も乳歯は自然に抜けません。
後続永久歯が無いため、乳歯が抜けるまではそのまま使い続けることをおすすめします。乳歯をなるべく長く残せるように歯磨きをしっかりしましょう。
永久歯が埋伏している
永久歯が歯肉の中で埋まっている状態を埋伏歯と言います。正常な位置にはえることができない場合、埋伏歯になることがあります。
例えば、永久歯のはえるスペースがなかった、歯胚自体が横に傾いていたなどの理由が考えられます。
埋伏歯は他の歯の歯根を押したり、正常な位置にあるわけではないので歯並びが悪くなることがあります。
外科手術により埋伏歯を引き出して正常な位置にはえるように誘導する必要があります。
その他
乳歯が抜けない原因は稀ですが、以下のようなことがあります。
- 遺伝的要因:永久歯の先天欠如は遺伝的な要因がある場合があります。
- 全身疾患:甲状腺機能低下症や糖尿病などの全身疾患による場合があります。
- 癒合歯:乳歯と永久歯が何らかの原因でくっついていることがあります。
- 歯牙腫:骨の中に歯牙腫があると永久歯の萌出の邪魔になることがあります。
乳歯が残るとどうなるか
乳歯が残ることはダメなのか、どんな影響があるのか、そんな疑問にお答えしたいと思います。
審美性の問題
乳歯は永久歯に比べると小さく、また色味も白っぽいため永久歯の中に混じっていると目立つことがあります。
咬みにくい
乳歯は永久歯よりも弱く柔らかいため、長く使っていると割れたり、欠けたりすることがあります。
また永久歯よりも背が低いため、対合歯と咬みあわず咬みにくいことがあります。
歯並びが悪くなる
乳歯が残っていると、周囲の永久歯の位置が通常の位置よりずれてしまったり、傾いたりすることがあります。
乳歯が抜けない場合の治療法
乳歯が晩期残存していても、治療法はあるのでご安心ください。
まずは歯科医院でX線写真を撮り、永久歯の歯胚があるかどうか、乳歯の歯根の吸収度合い、永久歯が萌出できない原因などをチェックしてもらいましょう。
抜歯
永久歯の歯胚があり、乳歯が障害になって永久歯がはえてこれない場合は、乳歯を抜歯して、永久歯が生えるスペースを作ります。
乳歯をそのまま残しておく
後続永久歯がない場合は、乳歯をそのまま残しておくことが多いです。
しかし、乳歯は永久歯と比べて弱くて柔らかいため、割れたり欠けたりする可能性があります。
その場合は抜歯して、ブリッジや義歯、インプラントなどの治療をおすすめします。
矯正治療
乳歯の晩期残存が永久歯の歯並びに影響を与えている場合は、矯正治療が必要な場合があります。
乳歯を温存しながら矯正治療をする場合と、乳歯を抜歯して矯正治療をするパターンがあります。
まとめ
乳歯が大人になっても残っている場合、支障がなければ、乳歯をそのままお使いいただくことは可能です。
乳歯を抜歯しなくてはいけなくなったら、ブリッジや義歯、インプラントなどの補綴治療や矯正治療でスペースを埋める治療が必要です。
X線写真を撮影すると、永久歯の歯胚の有無や、永久歯が萌出できない理由など様々なことが分かるのでまずは歯科医院にご相談ください。