乳歯の神経は抜いても大丈夫?治療が必要な理由と永久歯への影響
[2026年08月28日]
◯はじめに
「乳歯はどうせ生え変わるから、神経の治療まで必要なの?」と疑問に思う保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。歯科医院で「むし歯が神経まで進んでいるため、神経を取る処置が必要です」と説明を受けると、「治療は痛くないの?」「子どもがかわいそう」「これから生えてくる永久歯に影響しない?」と不安に感じることもあるかもしれません。
乳歯であっても、むし歯の進行状態によっては神経の治療が必要になることがあります。今回は、乳歯の神経を取る治療が必要になる理由や治療の流れ、治療後に知っておきたいこと、永久歯への影響について解説します。
◯目次
- ◯乳歯のむし歯で神経の治療が必要になるのはなぜ?
- ◆乳歯はむし歯が進行しやすい
- ◆むし歯が神経まで進むと治療が必要になることがある
- ◯乳歯の神経の治療と知っておきたい注意点
- ◆神経を取る治療の流れ
- ◆治療後に歯の色が変わることがある
- ◆乳歯冠をかぶせることがある理由
- ◯永久歯への影響とよくある疑問
- ◆乳歯の神経を取ると永久歯にも影響する?
- ◆生え変わりが近い場合の治療
- ◆治療後に痛みや腫れが出たら
- ◯まとめ
◯乳歯のむし歯で神経の治療が必要になるのはなぜ?
乳歯はいずれ永久歯に生え変わりますが、それまでは食べ物を噛んだり、永久歯が生えるためのスペースを保ったりする役割があります。そのため、むし歯が深く進んでいる場合も、歯の状態に応じた治療を行うことが大切です。
◆乳歯はむし歯が進行しやすい
乳歯は永久歯に比べてエナメル質や象牙質が薄く、むし歯が歯の内部まで進みやすい特徴があります。日本歯科医師会では、乳歯のエナメル質や象牙質の厚みは永久歯の半分程度と説明しています。
また、子どもは歯の痛みや違和感をうまく伝えられないこともあるため、保護者の方が気づいたときには、むし歯が深く進んでいる場合があります。
むし歯の深さは見た目だけでは判断しにくいため、気になる部分がある場合は歯科医院で状態を確認してもらうことが大切です。むし歯が歯髄近くまで進行していても、痛みが目立たないことがあります。
◆むし歯が神経まで進むと治療が必要になることがある
歯の内部には、神経や血管が集まる「歯髄」と呼ばれる組織があります。むし歯が深くなって歯髄まで影響すると、痛みが出たり、歯ぐきが腫れたりすることがあります。
歯髄の状態によっては、麻酔をしたうえで神経の一部を取り除く処置や、神経を取り除いて歯の根の中を清掃・消毒する根管治療が必要になることがあります。乳歯の深いむし歯では、歯髄の状態によって治療方法が異なります。
炎症が乳歯の根の周囲まで広がると、その下で育っている永久歯に影響する場合もあります。乳歯の根の周囲に炎症が広がると、その下で発育している永久歯に影響することがあります。
そのため、「乳歯だから治療しなくてもよい」と考えず、むし歯の進行状態に応じて治療方法を検討することが大切です。
◯乳歯の神経の治療と知っておきたい注意点
乳歯の神経の治療方法は、むし歯の深さや神経の状態、永久歯への生え変わりまでの期間などによって異なります。ここでは、神経を取る場合の一般的な治療の流れと、治療後に知っておきたいポイントを確認しましょう。
◆神経を取る治療の流れ
神経を取る治療では、必要に応じて局所麻酔を行い、まずむし歯になっている部分を取り除きます。その後、専用の器具を使って神経を取り除き、歯の根の中を清掃・消毒します。
歯の状態によっては、複数回の通院が必要になることもあります。根の中を整えたあとに専用の材料を詰め、最後に歯の形を修復します。乳歯の根管治療では、永久歯への生え変わりなどを考慮して、乳歯に適した材料が使用されます。
治療の回数や方法は、炎症の程度やお子さんの年齢、永久歯への生え変わりまでの時期などによって異なります。
◆治療後に歯の色が変わることがある
神経に炎症や壊死が起きた乳歯では、歯髄内の出血などによって歯の色が変わって見えることがあります。褐色や灰色などの色の変化がみられ、特に前歯では保護者の方が気づくこともあるでしょう。
神経の治療後に色の変化に気づいた場合も、色だけで歯の状態を判断することはできません。痛みや歯ぐきの腫れなどの症状がない場合も、定期的に歯の状態を確認してもらいましょう。
◆乳歯冠をかぶせることがある理由
むし歯の範囲が大きい奥歯や神経の処置を行った歯では、歯全体を覆う「乳歯既製金属冠」を使用することがあります。日本小児歯科学会でも、深いむし歯や神経の処置をした歯では、金属製の冠をかぶせる場合があると説明しています。
乳歯冠は既製の金属製のかぶせ物で、歯の状態に合うサイズを選び、調整して装着します。すべての神経治療後に必要になるわけではなく、残っている歯の量や噛み合わせなどを確認したうえで、使用するかどうかを判断します。
乳歯冠は、通常、乳歯の生え変わりに伴って歯と一緒に脱落します。
◯永久歯への影響とよくある疑問
乳歯の神経を取ると聞くと、永久歯への影響が気になる保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、乳歯と永久歯の関係や、生え変わりが近い場合の治療について確認していきます。
◆乳歯の神経を取ると永久歯にも影響する?
乳歯と永久歯は、神経を含めてそれぞれ別の歯です。そのため、乳歯の神経を取ったからといって、その下で育っている永久歯の神経までなくなるわけではありません。日本小児歯科学会でも、乳歯の神経を取ったからといって、永久歯の神経まで一緒に取り除かれるわけではありません。
ただし、むし歯による炎症が乳歯の根の周囲まで広がると、その下で育っている永久歯に影響が及ぶ場合があります。乳歯だからといってそのままにせず、歯の状態に応じて必要な治療を受けることが大切です。
◆生え変わりが近い場合の治療
乳歯は永久歯への生え変わりが近づくと、歯の根が徐々に吸収され、やがて抜けます。
生え変わりが近く根の吸収が進んでいる場合は、根の状態や永久歯の位置などを確認し、神経の治療を行うか、抜歯を検討するかを判断します。乳歯の根の吸収状態は、神経の治療方法を選ぶ際の判断材料の一つです。
必要に応じてレントゲン撮影を行い、乳歯をどの程度の期間残す必要があるのか、永久歯が生えてくる時期なども考慮して治療方針を検討します。
◆治療後に痛みや腫れが出たら
神経の治療を行ったあと、一時的に違和感や痛みが出ることがあります。また、治療した歯の周囲に再び炎症が起こると、歯ぐきが腫れたり、噛んだときに痛んだりする場合もあります。治療後は、痛みや腫れなどの症状がないか確認することが重要です。
痛みが強い、歯ぐきが腫れている、膿が出ているなどの変化がみられた場合は、そのままにせず、早めに治療を受けた歯科医院へ相談しましょう。
◯まとめ
乳歯であっても、むし歯が神経まで進んでいる場合には、神経を取る治療が必要になることがあります。乳歯と永久歯はそれぞれ別の歯なので、乳歯の神経を取ったからといって、永久歯の神経までなくなるわけではありません。
ただし、むし歯の進行状態や乳歯の根の状態、生え変わりまでの時期によって、治療方法は異なります。神経の治療を行う場合もあれば、状態によっては抜歯を検討することもあります。
乳歯のむし歯は、痛みが出るまで気づきにくいこともあります。神経の治療が必要になる前にむし歯を見つけられるよう、定期的に歯科医院でお口の状態を確認してもらいましょう。乳歯の神経の治療や永久歯への影響について気になることがありましたら、当院までお問い合わせください。


