低侵襲虫歯治療とは?

[2025年07月06日]

初めに

近年、「削らない治療」という言葉をよく耳にします。
しかし、虫歯になった歯質は細菌が感染しており、また細菌によって歯質の構造が崩壊し弱くなっているために、そのままにしておくことはできません。
では、低侵襲な虫歯治療(MI治療)とは、どのような治療なのでしょうか。
MIとは、Minimum Interventionの略語で、「最小限の介入・干渉」ということを指します。
具体的には、虫歯になり残せない歯質のみを除去し、健康な歯質を可能な限り保存することで、歯を出来るだけ長持ちさせる治療になります。
今回は、このMI治療について、お話していきましょう。

目次

  • ◯歯を出来るだけ削らない、とは
  • ◯マイクロスコープ(拡大鏡)を用いた治療
  • ◯ダイアグノデントを用いた治療
  • ◯う蝕検知液を用いた治療
  • ◯エキスカベータ(エキスカ)を用いた治療
  • ◯MI用バーを用いた治療
  • ◯予防のためのメンテナンス強化
  • ◯まとめ

1. 歯を出来るだけ削らない、とは

従来の治療法では、虫歯菌に感染した歯質を削ったのちに、インレーなどの補綴物を入れるスペースを確保するために、周囲の健全な歯質をも削る必要がありました。
MI治療では、健全歯質を出来るだけ傷つけることなく、感染歯質のみを削り、治療していくことを主としています。
それは、出来るだけ歯の神経を残す、歯を抜かずに残す、ということにも繋がります。

そのための具体的な治療について、説明していきましょう。

2. マイクロスコープ(拡大鏡)を用いた治療

マイクロスコープを用いることで、肉眼では確認することが出来ないような細かい部分を診ることができます。
それによって、虫歯を早期に発見し、早期に治療することが可能となります。
また、虫歯を除去する際にも、取り残しや削りすぎを防ぐことができます。
虫歯を除去後、詰めていく際には、マイクロスコープを用いて周囲の歯質との間に隙間や段差がないかなどを細かく確認することによって、虫歯の再発を予防することができます。

3. ダイアグノデントを用いた治療

ダイアグノデントとは、光学式う蝕検出装置のことです。
歯牙に光を透過させ、その透過度合いを数値化することで、虫歯の進行状況を診査することができます。
これによって、器具が入りにくい部位の虫歯の診断や、初期う蝕の進行状況なども診査することができます。
虫歯の早期発見・早期治療に有効であると共に、ごく初期の虫歯の経過観察などにも用いることができます。

4. う蝕検知液を用いた治療

う蝕検知液とは、虫歯菌によって感染した歯質を染める薬剤のことです。
う蝕検知液を用いることで、虫歯菌に感染した歯質の部分を取り残すことなく完全に除去することができます。
それと同時に、健康な歯質を削りすぎてしまうことを予防することができます。

5. エキスカベータ(エキスカ)を用いた治療

エキスカベータは先端が耳掻きのような形状をしている手用器材です。
様々な用途がある器材ですが、深部の虫歯を除去する際にも使用します。
歯の組織の状態を手の感覚で確認しながら少しずつ削ることで、削り過ぎの予防に繋がります。
また、削る際に熱も発生しないため、歯の神経をむやみに刺激しないという利点もあります。
欠点としては、機械で削るよりも時間がかかることが挙げられます。

6. MI用バーを用いた治療

従来の歯質切削用バーよりも細く、小さいバーを用いることで、届きにくかった細かな部位をピンポイントで削ることができます。
また、必要以上に削りすぎてしまうことを防ぐ効果もあります。

7. ダイレクトボンディングシステム治療

ダイレクトボンディングシステムとは、虫歯により失った歯質の部分を、コンポジットレジンという歯科材料を直接歯に詰めることで、歯の形状や色調を回復させる治療のことです。
インレーなどのように、お口の外で間接的に製作した上で接着していく治療と比較すると、歯を削る量が少なく済む、治療回数が短縮できる、というメリットがあります。
また、歯と同じ色調を選択することができ、審美的にも優れています。
欠点としては、虫歯により失った歯質の範囲が広いと、強度的な問題から適応できない場合があります。

8. 予防のためのメンテナンス強化

MM歯科・矯正歯科では、お口の中に再び虫歯ができないように、虫歯治療が終了した後に定期的なメンテナンスをお勧めしています。
お口の中の状況によって、3~4ヶ月おきにお口の中の全体的なチェックやクリーニングを行っていきます。
それによって、ごく初期の虫歯は削ることなく経過を観察し、少しでも進行の兆しがみえたら早めに治療を行うことができます。
虫歯の治療に関しても、小さいうちに治療を行うことで、失う歯質を最小限に抑えることができます。
また、歯を失う原因の1位である歯周病のケアを欠かさず行うことで、長く自分の歯で咬める未来を実現していきます。

9. まとめ

  • 低侵襲治療とは、必要最小限の歯質のみを削り、健康な歯質を出来る限り保存することで、自分の歯を長持ちさせる治療である
  • 低侵襲治療では、マイクロスコープ・ダイアグノデント・う蝕検知液・エキスカベータ・MI用バーといった器具や薬剤を用いることによって、むし歯の部分のみを削り、自分の歯を出来るだけ保存していく。
  • ダイレクトボンディングシステムを用いることにより、削る歯質を最小限にしつつ、審美的にも優れた治療を行うことができる。
  • 定期的なメンテナンスを行うことで、むし歯の再発を防ぎ、再びむし歯になった場合も早期発見・早期治療を行うことが出来るので、歯への侵襲が少なく済む

出来てしまったむし歯は、放置しても自然に治ることはありません。
また、一度削った歯質も、元の歯質には戻りません。
削る必要のある歯質のみを削り、出来るだけご自身の歯質を残していくことが、長くご自身の歯で咬むことが出来るお口の中を作っていくうえで、とても重要であると我々は考えています。

お口の中で、何か気になることがございましたら、MM歯科・矯正歯科へご相談ください。



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