子供がかかる感染症〈口の中に現れる症状と対策〉

[2022年08月30日]

子供の感染症は多種多様

子供は免疫力や抵抗力が大人と比べ弱く、様々な感染症を引き起こすことがあります。

その中にはお口の中にも症状が出る場合もあります。

実際の感染症の例を挙げてどのような症状が出るのか、どのように対処すればよいのか確認していざという時に慌てないようにしましょう。

 

【目次】

・よく知られている麻疹(はしか) 口にも症状が出ます

・よく聞く手足口病とは

・ヘルパンギーナってなに?

・まとめ

 

よく知られている麻疹(はしか) 口にも症状が出ます

POINT:麻疹は命にかかわることがある感染症。ワクチン接種で防ぎましょう。

よく知られている麻疹は国内ではワクチン接種の恩恵が大きく、現在では罹患する患者さんはほとんどいません。

しかし、麻疹は命にもかかわる感染症なので知っておいた方がよいでしょう。

麻疹は春から夏頃に流行しやすいと言われています。

とても感染力が高く空気感染するほどです。

国立感染症研究所の記述では1人の発症者が近くにいた場合、免疫のない集団が12から14人ほど感染してしまうという事です。(インフルエンザでは1人か2人)

症状

症状としては発熱、鼻水、咳、発疹などが見られます

麻疹ウィルスに感染した場合、10日ほど潜伏期(何も症状が出ない)があります。

その後に熱がでるのですが、特徴的に1度高熱が出て治まった後、再び高熱が出ます。これを2蜂性発熱といいます。発熱や発疹は1週間くらい続きます。

 

10日ほどで主症状は落ち着いてきますが、体力回復するまでに1ヶ月ほど時間を要することがあります。

感染により免疫力が低下するため、他の感染症にかかる可能性が高くなり注意が必要です。

 

感染の流れとして、

①     38℃くらいの熱、倦怠感、咳や鼻水などが3日前後でる時期(カタル期・前駆期)

②     熱が少し下がりまた発熱して発疹が出てくる時期(発疹期)

③     続いていた発熱が治まってくる時期(回復期)という流れになります。

 

発疹期では最初は耳の周囲や額、首周囲にあった発疹が、日ごとに広がりを見せて顔面、四肢、体幹に広がり全身に広がっていきます。その間は高熱が続くというつらい感染症です。

お口の中の症状としては最初の熱が出るころに、コプリック斑という小さい斑点がお口の頬粘膜に見られます。これは他の感染症と異なる特徴的な所見として挙げられます。カタル期にみられる所見です。ただし、発疹が出て2日ほどで消えてしまいます。

 

麻疹の怖いところは合併症があるところです。それにより命にかかわることがあります。例を挙げると、肺炎、脳炎、心筋炎などがあります。これらは重篤化する場合もあります。そして肝心な治療法ですが、特効薬はありません。対症療法が主になります。いかに怖い感染症か分かると思います。そのため、予防ワクチンの接種が大切になるわけです。

 

世界に目を向けてみると、先進国では稀な感染症となってきました。しかし、発展途上国では未だに多数の発生が確認されています。今でこそコロナウィルスが猛威を振るっていますが、それまでは古い記録ですが、毎年2000万人が発症し、2008年の死者推定数は16万4千人であるという記録があります。

 

よく聞く手足口病とは??

POINT:全身の発疹が特徴的な感染症 夏に多い

ニュースでもたまに見聞きする手足口病ですがどのような感染症かご存じでしょうか。

その名の通り、手、足、口に小水疱を形成する発疹がでる感染症です。夏ごろに多く4歳までの子供に多いですが、それ以降も感染することがあります。

主な症状は発疹の形成で熱が出ることもありますが、38℃以下が殆どとされています。

 

しかし、まれに麻疹のように脳炎などを起こすこともあるので注意が必要です。

肝心な治療法ですが、麻疹と同じように特効薬はありません。

抗生物質は細菌に対しては有効になる場合もありますが、これはウィルス感染症なので意味がありません。

 

ヘルパンギーナってなに?

POINT:手足口病と同じ系統のウィルス感染から起こる。夏に多い感染症

あまり聞きなれない感染症にヘルパンギーナというものがあります。

これは手足口病と同じ系統のウィルスで起こる感染症として知られています。

夏ごろがピークになる感染症で1歳が最も多く、主に5歳以下に発症します。

発熱と口の中の水疱形成、喉の発赤などの症状がでてきます。熱は3、4日程で軽快する場合が殆どです。

水疱が破れると潰瘍になり痛みを伴うため、食事が上手く摂れなくなることもあります。治療法は手足口病と同じで、ありません。

 

まとめ

お口の中にも症状が出る感染症を確認してきましたが、どれも治療薬がないのが印象的だと思います。

一度かかってしまうと完治するまで耐えるしかありません。

鎮痛薬での対症療法も時として有効ですが、特効薬ではないので治るまで待つしかありません。

子供がつらいのを見るのは保護者から見てもつらいものがあります。

可能な限り感染症にかからないように日頃からの手洗いうがいを励行して、免疫を落とさないようにしていくしかありません。

特に麻疹は命にかかわることがあります。ワクチン接種はしっかりと行い、感染対策をしっかり講じることが大切です。

 

お口の中に症状が出る感染症を取り上げてきましたが、一般的に熱や発疹など全身に関わる症状が主になります。

何か症状が出た場合には、先ずかかりつけの小児科を受診する様にして下さい。

前述の様に対症療法になるかもしれませんが、何が原因なのかきちんと診査・診断を受けておくことが大切です。

 



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