子供に増えている?睡眠時無呼吸症候群!

[2022年12月08日]

睡眠時無呼吸症候群という言葉を耳にしたこと、ありますよね。

それって大人だけが気を付けていればいいものだと思っていませんか?

 

実は最近、子供の睡眠時無呼吸患者が増えているんです。

でも、それって歯医者さんと関係あるの??

 

本日はそんな小児の睡眠時無呼吸症候群について解説していきたいと思います。

 

目次

1.睡眠時無呼吸症候群とは

2.小児の睡眠時無呼吸症候群

3.まとめ

 

睡眠時無呼吸症候群ってどんな病気?

近年、睡眠時無呼吸症候群という疾患の名前は広く浸透しており、聞いたことない、という方はあまりいないのではないでしょうか。

 

ただし「詳しいことは知らないな」という方のために、睡眠時無呼吸症候群とは?というところから解説します。

 

「睡眠時無呼吸症候群」とは主に睡眠中に上気道(鼻から喉頭:こうとうまでの空気の通り道)が何らかの原因によって狭くなることによって、無呼吸(呼吸が10秒以上止まる)や低呼吸(空気の流れが半分以上低下した状態が10秒以上続く)と、いびきを繰り返す病気です。

 

殆どの患者さんはいびきを生じますが、いびきをかかない方もいます。

いびきをかくタイプの睡眠時無呼吸症候群を

閉塞性(へいそくせい)睡眠時無呼吸症候群

と呼びます。

 

このタイプは俗に睡眠時無呼吸症候群として広く知られているものです。

 

今回はこちらのタイプについて解説します。

 

尚、いびきをかかないタイプのものを

中枢性(ちゅうすうせい)睡眠時無呼吸症候群

とよび、これは脳からの指令がうまくコントロールできないためにおこるもので、上気道の閉塞とは関係ありません。

 

そのため、いびきをかかないことが多いのです。

 

上記の両者が混合した、「混合型」というものも存在します。

 

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の原因として最も多いのは肥満ですが、顎が小さい、扁桃が大きい、舌が大きい、慢性鼻炎などの身体的な問題も原因となります。

成人男性の3-7%、成人女性の2-5%程度に見られる病気ですが、女性の場合は閉経後の更年期以降に症状が現れることが多いとされています。女性ホルモンの減少によって、上気道が閉塞しやすくなるためです。

 

また、睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病の一種です。

肥満が原因として最も多いと前述しましたが、飲酒や喫煙も原因となりうる生活習慣です。

 

では、睡眠時無呼吸症候群になるとどのような弊害があるのでしょうか。

 

睡眠時に呼吸が止まると、体は酸素が低下したことに危機を感じ、脳に覚醒して呼吸をするように指令を出します。

 

その状態が夜間繰り返されるため、熟睡できない、朝起きた時に体が疲れている、日中も常に眠くて仕事や勉強に集中できないといった症状が発生します。

日中の眠気は仕事にも支障をきたすだけではなく、重大な事故を引き起こすことも問題となっています。

 

更には糖尿病、心筋梗塞、脳卒中など命にかかわる合併症を引き起こすこともあります。

 

そしてこの睡眠時無呼吸症候群の厄介なのが、就寝中の出来事のため自分自身で気づきにくい、ということです。

 

上記のような症状があったり、一緒に寝ているパートナーから指摘があった場合には、まずは近くの耳鼻科へ相談しましょう。

 

現在はスリープクリニックなど、睡眠時無呼吸症候群に特化したクリニックも増えています。

 

そのように睡眠に特化したクリニックでは歯科医院と提携している場合も近年増えていますので、かかりつけの歯科医院から紹介してもらうことも可能です。

(ここは確認お願いします)

 

小児の睡眠時無呼吸症候群とは?

本題にはいりましょう。

これまで成人の睡眠時無呼吸症候群については解説しましたが、小児では何が違うのでしょうか。

大まかに言うと

・睡眠時無呼吸症候群の診断基準

・治療方法

・予防方法

が、成人とちがうところです。

 

睡眠時無呼吸症候群の診断基準

成人では、携帯型装置による権威検査や睡眠ポリグラフ検査といった方法で診断をします。睡眠ポリグラフ検査(AHI)にて睡眠中の1時間当たりの無呼吸と低呼吸の回数を測定するとともに、日中の眠気や頭痛、睡眠中のいびきの自覚などとの問診と併せて評価します。

 

AHIが5以上かつ問診内容が当てはまる場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。重症度はAHI5-15が軽症、AHI15-30が中等症、AHI30以上が重症です。

 

しかし、小児の場合、成人と違い日中の眠気や授業中の居眠りなどを自覚しにくく、睡眠中のいびきや息苦しさなどを訴えにくい傾向があります。

ゆえに発見が遅れるだけでなく、はっきりとした診断が下されずにそのままになってしまうことも多いのです。

 

また、診断されないままでいるとしっかりと睡眠がとれず、睡眠中の放出される成長ホルモンが不十分となり、子供の成長の妨げとなる場合もあります。

 

そのため、小児の睡眠時無呼吸症候群を早期に発見・診断するためには日頃から両親が日常生活を観察してあげることが重要で、小児の睡眠時無呼吸症候群の診断のためには、保護者の観察が必要不可欠なのです。

 

睡眠時無呼吸症候群の治療方法

では、睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、どのような治療を行う必要があるのでしょうか。

成人の場合、まずは生活習慣の見直しが必要となります。規則正しい生活や暴飲暴食を控えるといった基本的なものが重要です。

軽度睡眠時無呼吸症候群の場合には歯科医院と提携し、睡眠時無呼吸症候群用のマウスピースが適応となります。

マウスピースで下あごを前に出すことで、上気道の拡大をはかり、気道の閉塞を予防します。

AHI20以上で、日中の眠気を強く感じる場合には経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous posi-tive airway pressure:CPAP)と呼ばれる方法が標準的な治療となります。

 

一方、小児の場合、睡眠時無呼吸症候群の原因となるのは扁桃やアデノイド(喉と鼻の間にあるリンパ組織)の肥大であることが多いです。

扁桃やアデノイドは成長するにつれ縮小傾向になりますが、肥大したまま成人となることもあります。

その場合には扁桃やアデノイドの切除といった方法をとることが一般的です。

また、成人と同様、経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous posi-tive airway pressure:CPAP)を行う場合もあります。

小児に対してマウスピースによる治療を行うことは禁忌(やってはいけないこと)とされています。

 

睡眠時無呼吸症候群の予防方法

では一体なぜ歯科が関係あるの?

と思った方もいるのではないでしょうか。

 

成人の場合、睡眠時無呼吸症候群の治療でマウスピースを使用することがありますが、小児は関係ないんじゃないの?

いえいえ、そんなことはないのです。

近年、小児の睡眠時無呼吸症候群が増えている理由として、下あごが小さくなっていること、下あごが後退していることも理由の一つとして挙げられているのです。

小児のあごの大きさや位置関係は、小児のうちに矯正治療をすれば改善出来ます。

また、耳鼻科と協力して検査・治療を行うことで将来的な睡眠時無呼吸症候群のリスクを予測・予防することができるのです。

扁桃やアデノイドの肥大は予防することがむずかしいですが、歯並びや噛み合わせは小児の時限定で予防することができます。近年では歯科と耳鼻科が協力して検査を行うクリニックも増えてきました。

少しでも気になることがあれば、かかりつけ歯科医院で相談してみてもいいですよ。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

子供の睡眠時無呼吸が増えているなんて意外でしたか?

夜間のおもらしや夜泣き、日中怒りっぽくなったり、多動、落ち着きがないなどの原因が実は睡眠時無呼吸症候群だった!なんて可能性もあります。

是非、保護者の皆さんがよく子供のことを観察してあげてください。

少しでも気になったら歯科でも耳鼻科でも相談してみて下さい。

 



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