子供の歯磨き粉選びの完全ガイド

[2025年06月23日]

はじめに

子供の歯の健康は、将来の口腔環境を左右する重要な要素です。特に乳歯は永久歯よりも虫歯になりやすく、適切なケアが欠かせません。しかし、ドラッグストアに行くと数多くの子供用歯磨き粉が並んでおり、「どれを選べばいいの?」と迷ってしまう保護者の方も多いのではないでしょうか。

子供の歯磨き粉選びは、単に「子供用」と書かれているものを選べばよいというわけではありません。年齢、フッ素濃度、味、成分など、考慮すべきポイントがいくつもあります。間違った選択をすると、虫歯予防効果が十分に得られなかったり、子供が歯磨きを嫌がるようになったりする可能性もあります。

今回は、歯科医師の視点から、子供の歯磨き粉選びのポイントと、おすすめの商品をご紹介します。この記事を読むことで、お子さんに最適な歯磨き粉を選び、楽しい歯磨き習慣を身につけるためのヒントを得てください。

目次

  • ◯子供用歯磨き粉選びの基本ポイント
    •  ◆年齢別フッ素濃度の選び方
    •  ◆安全な成分の見極め方
    •  ◆味と香りの重要性
  • ◯年齢別おすすめ歯磨き粉
    •  ◆0〜2歳向け歯磨き粉
    •  ◆3〜5歳向け歯磨き粉
    •  ◆6歳以上向け歯磨き粉
  • ◯歯磨き粉を使う際の注意点とコツ
    •  ◆適切な使用量
    •  ◆仕上げ磨きのポイント
    •  ◆歯磨きを楽しくする工夫
  • ◯まとめ

子供用歯磨き粉選びの基本ポイント

年齢別フッ素濃度の選び方

子供用歯磨き粉を選ぶ際に最も重要なのが、フッ素濃度です。フッ素は虫歯予防に高い効果を発揮しますが、子供の年齢によって適切な濃度が異なります。

日本小児歯科学会では、年齢別に以下のフッ素濃度を推奨しています。

  • 6ヶ月から2歳まで 500ppm

  • 3歳から5歳まで 500ppm〜1000ppm

  • 6歳以上 1000ppm〜1500ppm

これは、年齢が上がるにつれて歯磨き後のうがいが上手になり、歯磨き粉を飲み込むリスクが減るためです。

市販されている子供用歯磨き粉のパッケージには、必ずフッ素濃度が記載されています。購入前に必ず確認し、子供の年齢に適した濃度のものを選びましょう。濃度が高すぎると、誤って飲み込んだ場合に体に負担をかける可能性があります。

安全な成分の見極め方

子供は年齢によって、歯磨き粉を上手にうがいできない場合があるため、成分の安全性も重要なポイントです。避けたい成分として、ラウリル硫酸ナトリウムなどの強い界面活性剤、人工甘味料のサッカリン、研磨剤が多く含まれているものが挙げられます。特に粗い研磨剤は乳歯は永久歯と比較してやわらかく傷つきやすいため、研磨剤無配合またはマイルドな研磨剤を使用した製品を選びましょう。

安全性の高い成分としては、天然由来の甘味料であるキシリトール、マイルドな清浄剤、低研磨性の成分などがあります。特にキシリトールは虫歯菌の活動を抑制する効果もある甘味料になります。パッケージの成分表示をよく読み、できるだけ自然で安全な成分を使用している商品を選びましょう。

味と香りの重要性

子供が継続して歯磨きをするためには、味と香りも非常に重要な要素です。大人用の歯磨き粉に多いミント系の味は、子供には刺激が強すぎることがあります。

子供用歯磨き粉には、いちご味、ぶどう味、メロン味、バナナ味など、子供が好む甘い味のものが多く用意されています。子供の好みに合わせて選ぶことで、歯磨きタイムが楽しい時間になります。ただし、甘すぎる味は歯磨き粉を食べたがる原因にもなるため、適度な甘さのものを選ぶことが大切です。

年齢別おすすめ歯磨き粉

0〜2歳向け歯磨き粉

この年齢の子供には、フッ素濃度500ppmで、飲み込んでも安全な成分を使用した歯磨き粉がおすすめです。研磨剤不使用で、泡立ちの少ないジェルタイプが適しています。

具体的な商品としては、ライオンの「チェックアップジェル」やピジョンの「親子で乳歯ケア」シリーズがあります。これらの商品は、うがいができない年齢でも安心して使用でき、やさしい味で子供にも受け入れられやすいのが特徴です。

使用する際は、歯ブラシに米粒大程度の量をつけて、保護者が仕上げ磨きを行いましょう。歯磨き後は、濡れたガーゼやタオルで口の中を軽く拭き取る程度で十分です。

3〜5歳向け歯磨き粉

この年齢になると、少しずつうがいができるようになります。フッ素濃度は500ppm〜1000ppmのものを選び、お子さんが好む味のものを選択しましょう。

おすすめ商品には、ライオンの「チェックアップ」シリーズ、サンスターの「Do クリア」シリーズ、クリニカの「Kid’s」シリーズなどがあります。これらは適切なフッ素濃度かつ、いちご味やグレープ味など子供が喜ぶフレーバーが揃っています。また、キャラクターパッケージのものも多く、お子さんの興味を引くのに効果的です。

使用量は小豆大程度とし、歯磨き後は軽くうがいをさせましょう。完全にうがいができない場合は、少量の水で口をゆすぐ程度で構いません。

6歳以上向け歯磨き粉

6歳以上のお子さんには、大人用に近いフッ素濃度1000ppm〜1500ppmの歯磨き粉を使用できます。永久歯が生え始める時期なので、より効果的な虫歯予防が必要です。

この年齢におすすめなのは、ライオンの「チェックアップ スタンダード」やクリニカの「アドバンテージ」シリーズです。これらは高いフッ素濃度でありながら、子供でも使いやすい味に調整されています。

使用量は歯ブラシの3分の1程度とし、歯磨き後は十分にうがいをさせましょう。この年齢では、自分で歯磨きをする習慣も身につけつつ、保護者による仕上げ磨きも継続することが大切です。

歯磨き粉を使う際の注意点とコツ

適切な使用量

歯磨き粉の効果を最大限に発揮するためには、適切な使用量を守ることが重要です。多すぎると泡立ちすぎて磨きにくくなり、少なすぎると十分な効果が得られません。

年齢別の目安は以下になります。

  • 0〜2歳は米粒大(約1〜2mm)

  • 3〜5歳は小豆大(5mm程度)

  • 6歳以上は歯ブラシの3分の1程度(1cm程度)

最初は保護者が適量を出してあげて、徐々に子供自身が適量を覚えられるよう指導しましょう。

仕上げ磨きのポイント

子供用歯磨き粉を使用する際は、必ず保護者による仕上げ磨きを行いましょう。子供だけでは磨き残しが多く、歯磨き粉の効果を十分に得られません。

仕上げ磨きでは、奥歯の溝、歯と歯の間、歯と歯茎の境目を重点的に磨きます。力を入れすぎず、やさしく丁寧に磨くことがポイントです。お子さんが嫌がらないよう、楽しい雰囲気づくりも心がけましょう。

歯磨きを楽しくする工夫

歯磨き粉選びと同時に、歯磨きタイムを楽しくする工夫も大切です。好きなキャラクターの歯ブラシを使ったり、歯磨きの歌を歌ったり、タイマーを使ってゲーム感覚で行ったりすることで、子供の歯磨きへの興味を高められます。

また、歯磨きカレンダーを作って、きちんと歯磨きができた日にシールを貼るなどの方法も効果的です。歯磨きが習慣として定着するまで、根気よく楽しい環境づくりを続けましょう。

子供から「仕上げ磨き、まだ〜?」と言われるまで習慣づけできるようになれるかもしれません。

まとめ

子供の歯磨き粉選びは、年齢に応じたフッ素濃度、安全な成分、子供が好む味を総合的に考慮することが重要です。0〜2歳は500ppm、3〜5歳は500〜1000ppm、6歳以上は1000〜1500ppmのフッ素濃度を目安に選びましょう。

また、歯磨き粉だけでなく、適切な使用量や仕上げ磨きの技術、楽しい歯磨き環境づくりも虫歯予防には欠かせません。お子さんの成長に合わせて歯磨き粉を見直し、継続的な口腔ケアの習慣を身につけることで、健康な歯を育てていきましょう。

定期的な歯科検診と併せて、毎日の適切なケアを続けることが、お子さんの将来の口腔健康につながります。



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