歯並びの土台が作れる小児矯正

[2022年10月08日]

最近、矯正装置の進歩により、矯正治療の開始年齢が以前と比べて低年齢化してきており、お子様の歯並びを気にされている保護者の方が年々増えています。

予防の考えが広がる中、お子様のむし歯の平均本数は減少し、歯科治療をほとんど経験せずに大人になる方も少なくありません。

一方、咬み合わせと体の様々な病気の発症が関連しているという認識が広まりつつあり、デンタルIQの向上に伴い、歯並びの治療を希望される方が増えてきています。

特にお子様の矯正治療では大人でよく行う歯を抜く治療を行わずに歯並びを整えられる可能性があり、多くのメリットがあります。今回は小児矯正についてご紹介いたします。

目次

◆歯並びの影響

◆どんな治療?

◆いつから始める?

注意することは?

まとめ

歯並びの影響

顎は歯が並ぶための土台であり、顎と歯の大きさによって、歯が大きいもしくは顎が小さければ歯は重なって並ぶようになります。重なった歯並びの場合、重なった部分の歯磨きが行いづらくなったり、磨きにくいことでむし歯になるリスクが高くなります。

また、歯並びの重なりは一度生じるとなかなか自然には治らず、経年的に歯の重なりが強くなる傾向があります。咬み合わせの観点では、それぞれの歯にかかる力のバランスが崩れるため、食べ物をうまく咬めなかったり、歯が欠けたりといった不具合を生じます。

歯並びを整えることでこのようなデメリットをなくせますが、顎の成長が終了している大人の場合にはスペース確保のために歯を抜くもしくは歯を削らなければなりません。小児期の成長をうまく利用することで顎の大きさを整え、大人の歯がきちんと並ぶ準備をします。

どんな治療?

小児矯正の目的はきちんと歯を並べることではなく、顎の成長を促し歯が並ぶスペースを確保することです。

矯正装置としては、主にワイヤータイプのものとマウスピースタイプのもの、入れ歯タイプのものに分かれます。

一般的に、ワイヤータイプの矯正治療は外側、あるいは成長をより促すために内側にワイヤーを装着して力をかけることで顎を前方および側方に拡大させます。

力のコントロールが行いやすく、効果が得られやすいというメリットがある一方、日中もずっと装置をつけているためお子様への負担が大きくなってしまい、唇や舌に傷がつきやすくなってしまうデメリットもあります。

また、ワイヤーが装着されていることで歯磨きしにくくなりますのでお手入れの際には注意が必要です。マウスピースタイプでは主に舌の位置の補正や唇の筋肉のトレーニングなど顎の成長に影響を与える筋肉を整える目的で使われます。

唇や頬、舌の間に歯が並ぶため口をポカンと開けてしまったり、舌を動かすなど習癖の改善をこの装置で行います。

入れ歯タイプのものは取り外し式で、日中も外せるので紛失や外傷のリスクを減らせますが、マウスピースタイプと同様にご自宅での管理が必要なのでお子様と保護者の方のご協力が必要です。

どの装置もメリット・デメリットがありますが、お子様の顎の状態と生活環境に合わせて、装置を正しく使用することで顎の成長を促します。

いつ頃から始める?

小児矯正の場合、成長曲線の年齢に合わせて6〜8歳頃を目安に始めることが多いですが、実際のお口の中の歯の生え変わりや顎の状態によって開始時期を決めることが大切です。

一般的に、6歳ごろから臼歯が生え始めて、前歯が生え変わったタイミングで始めることが多く、前後のスペースが決まってしまうため、不足分を補うために矯正治療を始めていきます。

その時期ではワイヤータイプか入れ歯タイプがよく用いられ、お子様の生活環境やご要望に合わせて装置や治療期間などをご提案いたします。また、成長のピークは10歳前後と言われ、女の子の方が男の子より早く成長のピークが訪れるとも言われており、普段の定期検診等でお口の中の状態を調べておくことが大切です。

なぜ顎の成長が少なかったかを判断し、習癖や足りないスペースの量に応じて適切な装置をお使いいただくことで顎の成長を促します。

ただし、受け口の疑いがある場合には顎の成長をコントロールするために乳歯が生え揃ったあたりから始める必要があります。

注意することは?

ワイヤータイプの場合には装置の周りに汚れが付きやすく、ワイヤーが通っているので歯と歯の間の歯磨きが疎かになりやすくなるので注意しましょう。

デンタルフロスや糸ようじでは磨けないので歯間ブラシやタフトブラシ(先端が細くなっている歯ブラシ)を使って汚れを落とします。

歯を長持ちさせるための矯正治療を行うことで、むし歯が増えてしまっては勿体ないことなので、保護者の方の仕上げ磨きも必要で、日頃から丁寧なケアを心がけましょう。マウスピースタイプや入れ歯タイプでは、歯磨きに関する問題点はありませんが、取り外し式のため紛失や破損の恐れがあります。

また、日中に装着しなければいけないので、お子様や保護者の方のご協力が必要です。

まとめ

小児矯正は歯科医院だけでなく、歯ブラシや普段の装置の管理などお子様と保護者の方のご協力のもと成り立ちます。

お口の状態によって1〜2年ほど期間を要する場合もあり、決して短いものではありません。お子様の将来の歯並びを整えるために必要な治療ですが、矯正治療で最も大切なことはきちんと通院できるかどうかです。

習い事や受験などご家庭によってライフスタイルが異なり、定期的な通院が行えなくなると、歯の動きが悪くなり治療がスムーズに進まない場合もあります。

かかりつけの歯科医院で開始時期や期間などを相談し、お子様やご家庭にとって最良のタイミングで行うことをおすすめします。



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