歯根破折は抜歯するしかない?破折の原因や予防法、治療法について解説
[2026年07月07日]
◯目次
- ◯はじめに
- ◯歯根破折とは
- ◆歯根破折の原因
- ◆歯根破折の主な症状
- ◯歯根破折の治療法
- ◆歯冠付近の水平破折
- ◆歯根の中央部での水平破折
- ◆根尖付近での水平破折
- ◆歯根の垂直破折
- ◯歯根破折の予防法
- ◯まとめ
◯はじめに
こちらの記事では、歯根破折の症状や原因、治療法、予防法について詳しく解説します。歯根破折は折れ方によって治療法が異なり、抜歯が必要なケースもあれば歯を保存できるケースもあります。歯根破折とはどのような状態なのか、治療法や予防法も含めて分かりやすくご紹介します。
歯が折れる原因に、こけたり殴られたりしたことによる外傷や、合っていない補綴物による負担、弱い力でも折れてしまう病的破折があります。また、破折が生じた部位によっても分類され、歯の見える部分が割れた場合は歯冠破折、歯の根っこの部分である歯根が割れた場合は歯根破折、両方に及んだ場合は歯冠・歯根破折と呼ばれています。
今回は、歯根破折について詳しくみていきましょう。
◯歯根破折とは
歯根破折は、歯の根っこの部分である歯根が割れた状態を指します。横方向に割れた場合を水平破折、縦方向に割れた場合を垂直破折といいます。水平破折は前歯の外傷によってよく見られ、垂直破折は部位を問わず、根管治療の既往歴がある神経を除去した歯によく見られるのが特徴です。
◆歯根破折の原因
歯根破折は主にこちらのようなことが原因で起こります。
- ・既に神経を抜いた歯で、歯が脆くなっている
- ・歯ぎしりやくいしばり
- ・硬い物を咬む習慣がある
- ・物理的な外傷
- ・歯根と骨が癒着している
むし歯の治療で神経を取ってしまった歯は割れやすい傾向にあります。神経である歯髄がないということは、歯に血流がなく栄養や酸素が届きにくい状態です。そのため、歯自体が脆くなり、割れやすくなります。
また、神経を取った歯に装着されている補綴物が時間の経過によって合わなくなっている場合も、力が不適切にかかることで歯根破折の原因になることがあります。
◆歯根破折の主な症状
歯根破折は歯髄を取り除いた歯に起こることが多いため、大きな痛みを感じるというよりも違和感として気付くことが少なくありません。(歯髄が残っている歯の場合は激しい痛みが生じることがあります。)
こちらのような症状がある場合は、歯根破折の可能性があります。
- 1本の歯だけが揺れたり動いたりする
- 咬んだときに割れるような音がした
- 被せ物が取れた
- 歯ぐきの一部が腫れるなどの炎症を起こしている
歯根破折は歯髄がない歯に起こりやすいため、痛みがない場合も多くあります。しかし、破折した部分は細菌感染を起こしやすく、炎症が生じることで歯周炎のような症状が現れることがあります。
◯歯根破折の治療法
歯根が横方向に割れる水平破折は、破折した位置によって治療法が異なります。抜歯を選択するのではなく、できるだけ歯を保存する方法で治療を進めますが、破折の状態によっては保存が難しい場合もあります。
◆歯冠付近の水平破折
歯冠に近い部位で破折した場合は、歯髄が露出し細菌に感染していることが多いため、歯髄を取り除く抜髄という治療が必要になります。
また、破折が歯ぐきよりも下で起こっている場合は、歯根を上方向へ引っ張り上げる処置を行ったうえで、被せ物などの補綴物を製作することもあります。
◆歯根の中央部での水平破折
歯根中央部の水平破折では、まず経過観察を行うことが一般的です。ただし、歯髄の損傷や痛みなどの症状がある場合は、歯髄を取り除く抜髄を行います。
すでに歯髄を取り除いて根管治療が行われている歯であれば、再度根管治療を実施することがあります。
◆根尖付近での水平破折
歯の根の先端付近に破折が見られた場合は、経過観察を行いながら歯髄が失活していないかを定期的に確認する必要があります。
歯髄が生きている場合はそのまま経過を見ることもありますが、歯髄が死んでしまった場合には、感染根管治療や歯根尖切除術(外科的に歯根の先端部分を切除する治療)などを行います。
◆歯根の垂直破折
完全に垂直方向へ破折している場合は、抜歯になることが多いです。垂直的な歯根破折は外傷によって起こることが多く、破折部が口腔内に露出しているため、口腔内細菌による感染を避けることが難しく、歯を保存できないケースが少なくありません。
しかし、破折してから時間が経っておらず感染の可能性が低い場合には、一度歯を抜いて割れた部分を接着し、その後元の位置へ戻す接着再植法が適応できることがあります。
◯歯根破折の予防法
歯根破折は、歯髄を取り除いた歯に起こりやすい傾向があります。そのため、歯髄を取り除いた歯は、補綴処置(被せ物など)をできるだけ早く受けることが大切です。
根管治療によって歯髄を取り除いた歯が、痛みがなくなったからといって治療を途中でやめることは避けましょう。最後まで治療を受け、適切な補綴物を装着することで歯の強度を補うことが重要です。
また、過度な力が歯にかかることも歯根破折の原因になります。そのため、食いしばりや歯ぎしりの習慣がある方は対策を行うことが大切です。
マウスピースやナイトガードを作製し、歯に過剰な力が加わらないようにすることで、歯根破折のリスク軽減につながります。
◯まとめ
歯の破折の中でも、歯根破折は歯髄をすでに取り除いた歯に起こりやすいことが特徴です。過去に根管治療を受けた歯は、健康な歯と比べて破折のリスクが高くなるため注意が必要です。
歯髄が取り除かれているため、強い痛みが出にくいことも特徴の一つです。しかし、外傷などによって歯髄が生きている歯の歯根が破折した場合には、激しい痛みを伴うことがあります。その際は速やかに歯科医院を受診しましょう。
歯根破折が起こった場合は、できるだけ早く歯科医院を受診することが大切です。破折して間もない段階であれば、抜歯をせずに歯を保存できる可能性があります。
痛みがない場合は気付きにくいこともありますが、違和感や歯ぐきの腫れなどの異変を感じた際は、早めに歯科医院で診察を受けましょう。


