永久歯にツノが生えていたら要注意!!、中心結節の危険性について

[2023年10月15日]

乳歯から永久歯への生えかわりは、
前歯から順に進んでいきます。

 

小学校も後半になる頃には、
乳歯の奥歯の永久歯への
生えかわりが始まります。

奥歯の永久歯に、
まれにツノがついていること
があります。

これを中心結節というのですが、
中心結節はトラブルの原因となるので、
永久歯にツノがついていたら、
注意が必要です。

そこで今回は、
永久歯のツノ、
中心結節について解説します。

この記事をお読みいただければ、
中心結節とは何か、
どのような危険性があるのかが
お分かりいただけると思います。

 

目次

◯中心結節について

 ◆中心結節とは

 ◆中心結節が生じやすいところ

 ◆中心結節の内部

 ◆中心結節の原因

◯中心結節の問題点

 ◆破折

 ◆歯髄炎

 ◆根尖性歯周炎

◯中心結節への対策

 ◆補強

 ◆研磨

◯まとめ

 

中心結節について

中心結節についてご説明します。

 

中心結節とは

中心結節は、歯の噛み合わせ面の一部が
ツノのように飛び出したものです。

歯の形の異常のひとつであり、
モンゴロイドという東アジア系の人種に
起こりやすいとされています。

 

中心結節が生じやすいところ

中心結節は、
小臼歯という歯並びの真ん中あたりの奥歯に
生じやすい傾向があります。

中でも、
最も頻度が高いのは
第二小臼歯という前
から数えて5番目の歯です。

ですが、奥歯ならどの歯でも
生じる可能性はあります。

 

中心結節の内部

歯の大部分は、象牙質でできており、
その内側に一般的に神経とよばれている歯髄、
歯冠の外側をエナメル質で覆って守る構造をしています。

中心結節も同じで、
エナメル質の内側に象牙質があります。

 

そして、歯髄も伸びてきています。

中心結節の内部には、
象牙質だけでなく歯髄も存在しています。

 

中心結節の原因

どうして中心結節が生じるのか、
その原因はよくわかっていません。

 

中心結節の問題点

中心結節のどのような点が問題になるのでしょうか。

破折

中心結節は、
噛み合わせ面にツノのように伸びています。

 

噛み合わせ面には、
噛み合わせの力が加わります。

上下方向の力もあれば、
食べ物をすりつぶすために横方向に加わる力もあります。

中心結節は細長いので、
噛み合わせたときに折れてしまうことがあり、
折れることが次に挙げるような問題の原因となります。

すなわち、
中心結節の問題点は、
折れやすいという物理的な性質にあります。

 

歯髄炎

中心結節が折れるとどうなるのか、
内部の状態にもよりますが、
多くの場合、歯髄が露出します。

これを露髄(ろずい)
とよんでいます。

 

歯の神経が直接、
外部に露出するわけですから、
強い痛みの原因となります。

 

根尖性歯周炎

中心結節が折れても、
折れ方によっては歯髄が露出しないことがありますし、
露髄範囲がごく僅かなら、痛みを感じないこともあります。

露髄しなくても、
歯髄付近の歯の厚みは薄くなり、
冷たいものや熱いものの刺激が歯髄に伝わりやすくなります。

噛んだときの刺激も同様です。

もちろん、
痛みを感じないほどの僅かな露髄であっても、
歯髄に刺激が蓄積します。

そして時間をかけて、
少しずつ歯髄が弱くなっていき、
最終的には歯髄組織そのものが死んでしまいます。

すると、歯髄が腐り、
それがあった部分が細菌繁殖の温床となります。

そして、歯の内部から細菌が歯の根の先に向かって進み、
歯の根の先から外に出ることで、歯の根の先に膿がたまります。

 

この病態を根尖性歯周炎とよんでいます。

 

中心結節への対策

お子さんの歯に中心結節を見つけたら、
どのような対策ができるのでしょうか。

 

補強

中心結節が折れないよう、
中心結節の周囲をセメントなどで
覆って補強するという対策です。

 

沖ノ鳥島が波で消失しないようその周囲をコンクリートで囲っていますが、
そんな感じで中心結節の周りをセメントで埋めるわけです。

噛み合わせたときに加わる力を
中心結節周囲のセメントで受け止めてもらい、
折れてしまうのを予防します。

 

研磨

中心結節の頂上付近を
丸める対策です。

細く長いと折れやすいので、
先端部分を神経が出ない程度に
削って全体的に低くします。

もちろん、レントゲン写真で歯髄の位置関係を確認し、
露髄しない程度にとどめます。

全体的に低めにすることで、
折れにくくします。

 

対策の効果

先ほどお話しした対策は、
中心結節自体をなくすのではなく、
中心結節は依然として残ったままです。

残ったままだと、
いずれ折れてしまうのではないかと
心配になる方もいらっしゃることでしょう。

実は、歯の大部分を占める象牙質には、
象牙芽細胞という新しい象牙質を作りだす細胞が
神経の部分にあります。

なお、表面を覆っているエナメル質には
そのような細胞はありません。

この細胞の働きで中心結節内部に
新しい象牙質が作り出され、
何年かすると中心結節内部が象牙質で満たされます。

こうなると、
中心結節が折れたりすり
減ったりしても、
何の問題もなくなります。

 

まとめ

今回は、歯の形の奇形である
中心結節についてお話ししました。

 

中心結節は、その内部に歯髄があるので、
折れたり欠けたりすると歯髄が露出し、
強い痛みを生じる原因になります。

中心結節を認めたら、
その周囲をセメントで補強したり、
結節部分を研磨したりすることで、
その破折を予防することができます。

 

当院は、小児歯科の専門知識や、
長年にわたる治療経験を持つ歯科医院です。

生えてきた永久歯にツノが生えていたら
中心結節かもしれないので、当院で一度ご相談ください。

 



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