
治療器具の水しぶきが顔や服に飛んで気になる
[2025年10月21日]
目次
- ◯はじめに
- ◯なぜ水しぶきが飛ぶのか?
- ◆高速回転の器具と冷却水の仕組み
- ◆口腔内バキュームの位置や角度の影響
- ◆治療部位や器具によって飛散量が変わる
- ◯医院での対策
- ◆バキュームやアシスタントのサポート強化
- ◆患者用タオルやガーゼの使用
- ◆ゴーグルやアイガードの提供
- ◯患者自身ができる工夫
- ◆治療前に「水しぶきが苦手」と伝える
- ◆服装や化粧の工夫(気になる服は避ける)
- ◆マスクやハンカチを持参して直後のケアに使う
- ◆鼻呼吸を意識する
- ◆自宅でのちょっとした練習
- ◆当日の持ち物ミニチェック
- ◯まとめ
はじめに
「治療中に顔に水しぶきがかかってしまって、服やメイクが濡れてしまった…」そんな経験をされた方は少なくありません。小さなことのようでも、不快感が積み重なると通院への抵抗感につながります。
この記事では、水しぶきが飛んでしまう理由と、歯医者側の工夫、患者様自身ができる準備を分かりやすくご紹介します。
なぜ水しぶきが飛ぶのか?
水しぶきには明確な仕組みがあります。理由がわかると、対処のイメージが持てます。
高速回転の器具と冷却水の仕組み
歯を削るときに使う器具は、とても高速で回転しています。摩擦によって熱が発生するため、それを冷やすために水を噴き出す仕組みが組み込まれています。この水が歯の削りかすを洗い流す役割も果たしているのですが、霧状になって周囲に飛び散ることで「水しぶき」として患者様の顔や服に届いてしまうのです。
特に奥歯の治療は器具が深く入るため、しぶきが外に漏れやすくなる傾向があります。
口腔内バキュームの位置や角度の影響
治療中は「バキューム」と呼ばれる吸引器具で水や唾液を吸い取りながら進めます。ただし、位置や角度が少しずれるだけで吸いきれない水が生まれ、飛び散ってしまいます。
近年では「口腔外バキューム」を併用することで、飛沫や粉じんの拡散を大幅に減らせることが研究でも示されています。器具のすぐそばだけでなく、周囲の空気中に舞うしぶきも抑えられるため、不快感の軽減につながります。
治療部位や器具によって飛散量が変わる
水しぶきの飛び方は、治療する歯の場所や使う器具によっても変わります。前歯と奥歯では角度や噴霧の広がり方が異なりますし、歯石を取る超音波スケーラーや着色を落とすエアポリッシャーなど、器具によっても水の飛散量は異なります。
前歯は視野が開けているぶん吸引が合わせやすい一方、角度次第で霧が顔側へ抜けることがあります。奥歯は器具が深く入るため、口角や頬側から外へ漏れやすい傾向です。上顎では重力の影響で霧が上方向に滞留しやすく、下顎は口角から流出しやすい、といった違いもあります。
「どうして自分のときだけ飛ぶのだろう」と感じても、実は器具や部位の違いによるものなのです。
医院での対策
歯医者でも飛散を抑える工夫を重ねています。気になる方は遠慮なく希望を伝えてください。
バキュームやアシスタントのサポート強化
口腔内バキュームを正しい位置に保つこと、さらに口腔外バキュームを併用することが重要です。これにより飛沫の拡散を大幅に減らすことができます。
さらに、歯科衛生士やアシスタントが器具の近くでバキューム操作を行うことで、患者様への水しぶきが少なくなります。
また、治療中にこまめに吸引を行うことで、口の中に水が溜まりすぎるのを防ぎ、「むせてしまう」リスクも軽減できます。
患者用タオルやガーゼの使用
患者様の胸元や顔にタオルをかけて治療を行うことも一般的です。こうした配慮は水しぶきが衣服に付着するのを防ぐだけでなく、安心感にもつながります。
医院によっては、専用のディスポーザブル(使い捨て)カバーを準備している場合もあります。
ゴーグルやアイガードの提供
一部の歯医者では、患者様用の保護ゴーグルやフェイスシールドを用意しています。これにより、目や顔に水しぶきがかかるのを防げます。コンタクトレンズを使用している方や目の乾燥が気になる方にとっては、特に安心材料となります。
患者自身ができる工夫
小さな準備で治療中のストレスは下げられます。今日から試せるポイントです。
治療前に「水しぶきが苦手」と伝える
受付や診療前のカウンセリングで一言添えるだけで、吸引の位置調整、タオル追加、チェア角度の配慮などが取りやすくなります。合図の仕方(手を上げる等)も先に決めておくと、途中で言葉が出づらいときも伝えやすくなります。
服装や化粧の工夫(気になる服は避ける)
大切な服や化粧が気になる場合は、治療当日は控えめな服装やメイクにすることも一つの方法です。特に濃い色の服は水しぶきが目立ちやすいため、気になる方は避けると安心です。
目元のメイクは控えめにすると、処置後の手直しが最小限で済みます。髪はサイドを軽く留めると、頬のカバーが掛けやすく、しぶきの付着も減らせます。
マスクやハンカチを持参して直後のケアに使う
治療後すぐに顔を拭けるように、ハンカチやタオルを持参しておくと便利です。
治療後にマスクを新しいものに替えられるよう、予備を持っていくのもお勧めです。水しぶきで不快になったときも、すぐにリフレッシュできます。
鼻呼吸を意識する
口呼吸をしていると水が喉に流れ込みやすく、むせやすくなります。できるだけ鼻呼吸を意識すると、不快感を減らせます。鼻づまりがあるときは無理をせず、体調が整ってから受診したり、事前に医院に伝えたりするのも安心につながります。
自宅でのちょっとした練習
水が苦手な方は、コップの水を少量含んで鼻呼吸を保つ練習をしてみるのも役立ちます。実際の治療姿勢に近づけることで、「水が口に溜まっても大丈夫」という感覚を少しずつ身につけられます。
当日の持ち物ミニチェック
①小さめタオル
②替えマスク
③ヘアピンまたはヘアゴム
④メイク直しの最小セット
この4点があると、処置前後のケアが短時間で整います。
まとめ:小さな配慮で通院ストレスを軽く
治療中の水しぶきは、器具の構造上避けられない部分があります。
しかし医院側の工夫と患者様自身の準備によって、不快感を大きく軽減できます。「仕方ない」と我慢する必要はありません。気になることは遠慮なく伝え、タオルやマスクなどで工夫することで、治療をより快適に受けられます。小さな配慮が、安心して通院を続ける大きな力になるでしょう。