
頬づえやうつぶせ寝が歯並びに与える影響って?
[2025年09月22日]
はじめに
お子さんの歯並び、気になりますよね。
歯並びには遺伝だけでなく、唇や舌の使い方や日々の様々な癖などが大きく影響すると言われています。
歯並びに影響する癖、というと指しゃぶりが思い浮かぶ方が多いかもしれません。指しゃぶりを長く続けることで、歯並びが出っ歯のようになってしまうこともあります。
また、頬杖やうつぶせ寝といった癖も歯並びに影響があることをご存じでしょうか?
毎日の無意識の習慣なので癖、とも思っていない方も多いかもしれません。
今回は、頬杖やうつぶせ寝といった癖がなぜ歯並びに影響を与えるのか、その対処法についてお伝えします。
目次
- ◯なぜ頬杖やうつぶせ寝が歯並びに悪いのか
- ◆顎の成長方向に偏りが出る
- ◆片側噛み・非対称な骨格発育につながる
- ◯実際に起こりやすい歯並びの乱れ
- ◆受け口・出っ歯
- ◆交叉咬合(クロスバイト)
- ◯家庭でできる予防と改善
- ◆寝る姿勢の工夫(横向き・仰向け)
- ◆声かけや習慣づけの方法
- ◯歯科医院でのチェックポイント
- ◆成長期の顎の左右差
- ◆必要に応じた早期矯正の提案
- ◯まとめ
なぜ頬杖やうつぶせ寝が歯並びに悪いのか
顎の成長方向に偏りが出る
頭の重さは体重の10%程度あると言われています。
いつも同じ側で頬杖をつく癖があると、顎に常に強い力が持続的にかかります。
1回1回はそれほど長い時間ではなくても、何度も繰り返されることで顎の骨に大きな負荷がかかります。
特に成長期のお子さんが頬杖をつく癖があると、顎の成長方向に偏りが出る可能性があります。
いつも同じ方向でうつぶせ寝をする場合は、頬杖よりもさらに長い時間1点に負荷がかかるため注意が必要です。
片側噛み・非対称な骨格発育につながる
頬杖やうつぶせ寝で片側からの力がかかることにより、顎の成長方向に偏りが出ると同時に歯並びも歪んでいきます。力のかかるほうの歯が内側に倒れ込み、噛み合わせに影響が出ます。
これにより噛みやすい側が出てくるため、片側ばかりで噛む習慣ができやすくなります。
片側でばかり噛むことで筋肉の発達に左右差ができ、非対称な骨格発育につながります。
実際に起こりやすい歯並びの乱れ
受け口・出っ歯
うつぶせ寝の状態で枕を使っていると、下顎が後ろに押されてしまい出っ歯の原因になることもあります。
またうつぶせ寝は口呼吸になりやすく、これにより口が開いて舌が下がった低位舌になりやすいです。舌は通常上顎にくっついているのが理想です。
しかし舌が下がることで舌が歯を押して下の前歯が出てしまい、受け口になってしまうのです。
交叉咬合(クロスバイト)
いつも同じ側で頬杖をついたり、いつも同じ側を下にして寝ていたりといった日常の癖があると少しずつその方向に顎が歪み、噛み合わせがずれてきてしまいます。
それにより上の歯と下の歯のかみ合わせが逆になる交叉咬合になるリスクが高くなります。
家庭でできる予防と改善
寝る姿勢の工夫(横向き・仰向け)
うつぶせ寝が多いお子さんの場合は、寝床を整えることで横向きや仰向けをしやすくなる場合もあります。
布団の硬さを変えたり、枕の高さを調整することで横向きや仰向け寝がしやすくなる場合もあります。
また背中の緊張が強いお子さんだと、寝る前に背中のマッサージをしてリラックスすることで仰向け寝をしやすくなることもあります。
声かけや習慣づけの方法
頬杖などは無意識に行ってしまう習慣のことが多いです。
このため、日頃の声掛けなどで悪い習慣を減らしていく努力が必要です。
また、保護者など周りの大人が行っているとお子さんも真似してしまいます。
周りの大人も日頃の習慣を見直しましょう。
歯科医院でのチェックポイント
成長期の顎の左右差
顎の成長の左右差は少ないうちはなかなか気が付くことが難しい場合もあります。
悪い習慣が原因で成長の左右差が出てしまっている場合、そのまま成長していくと後から改善することが大変になってしまいます。
しかし早期に気が付き、悪い習慣などの原因を取り除くことで左右差が小さいうちに改善することが可能になります。
必要に応じた早期矯正の提案
歯並びのずれがある場合、矯正治療が必要となる場合があります。
矯正治療にはまだ乳歯があるうちに行うⅠ期治療と、永久歯に生え変わった後に行うⅡ期治療があります。
早期に矯正治療を始めることで顎の成長を良い方向に誘導し、生え変わりをスムーズに進めることができる場合があります。
矯正治療のスタートに最適のタイミングは患者さんごとによって異なります。
定期的に歯科医院に通うことで、早期治療のタイミングの提案が可能です。是非かかりつけのクリニックでご相談ください。
まとめ
歯は弱い力で動きます。日々の癖が原因で顎の成長方向や歯並びに影響が出てきてしまいます。
特に頬杖やうつぶせ寝のような、片側から強い力が長くかかるような癖は要注意です。
日常の癖を見直してみましょう。
定期的に歯科医院に通ってくださると、歯並びの変化や顎の成長の変化を確認することができます。ぜひお気軽にご来院くださいね。