頬や唇がパンパンに腫れた時、氷で冷やしていいの?

[2026年03月07日]

はじめに

お顔が腫れる理由はさまざまですが、腫れると多くの方が腫れを引かせるために冷やすのではないかと思います。
ですが、実はなんでも冷やしたらいいのではなく、冷やした方がいいこともあれば、冷やさない方がいいこともあります。
そこで今回は、冷やした方がいい場合とそうでない場合についてご紹介します。
この記事を最後までお読みいただくと、『冷やすとどうなるのか』『効果的な冷やし方』『冷やすときの注意点』などもお分かりいただけます。

目次

・”冷やす”とは?
 ー 冷やす効果
 ー 冷やしすぎると・・・
・冷やすといい腫れとそうでない腫れ
 ー 冷やしていい腫れ
 ー 冷やすとよくない腫れ
・冷やすときの注意点
 ー 冷やしてはいけない方
 ー 冷やす際に注意がいる方
 ー よくない冷やし方
・正しい冷やし方
・まとめ

”冷やす”とは?

“冷やす”とどのような効果があるのか、まずそこからお話しします。

冷やす効果

冷やす効果は、腫れや痛みの軽減です。

腫れの軽減

冷やすと、冷やされたところを中心に、血管が縮みます。
すると、血液が流れにくくなります。
腫れる原因のひとつは、血液から染み出す滲出液です。
血流が低下することで、血管から滲み出る液体の量も抑えられ、腫れの軽減につながります。

痛みの軽減

痛みは、神経細胞の中にある神経伝達物質という神経間で情報をやりとりする物質の働きによって感じます。
冷やすと、神経細胞の働きが下がり、神経伝達物質を送り出す速さが低下します。
神経伝達物質の速さが下がると、痛みを伝えるのにも時間がかかるようになり、痛みを感じにくくなります。

冷やしすぎると・・・

逆に冷やしすぎると、凍傷など体にとって良くない効果をもたらします。

凍傷

凍傷は、皮膚やその下の組織が冷たいもので冷やされすぎて傷ついた状態です。
凍傷は、最初は赤みや腫れなどから始まり、水脹れができ、重症になると皮膚が黒ずみ壊死します。
腫れた頬を冷やしすぎて皮膚が壊死することは、通常は起こりにくいですが、初期症状くらいなら油断すると起こりかねません。
凍傷も冷やしすぎに注意が必要な理由の一つです。

治りが遅くなる

傷んだ細胞を治すためには酸素や栄養が必要ですが、これらは血管で運ばれます。
冷やすと血管が縮みますので血液の流れが低下し、大切な酸素や栄養を送り届けにくくなりますので、治りが遅くなります。

腫れが悪化する

例えば親知らずが化膿して腫れたとします。
このとき、細菌に対して免疫系の細胞が血管を通して送り届けられ、入り込んだ細菌を攻撃しています。
もし、冷やしすぎて血管が縮んでしまうと、免疫系の細胞を十分送り届けられなくなるので、腫れの治りが遅くなったり、腫れが悪化したりすることもあります。

冷やすといい腫れとそうでない腫れ

腫れたからといって、なんでも冷やしていいわけではありません。
冷やした方がいい場合もあれば、そうでない場合もあります。

冷やしていい腫れ

冷やすと効果的な腫れは、処置後の腫れやケガによる腫れです。

処置後の腫れ

親知らずの抜歯などの外科処置を受けた後の腫れです。
これは、処置によって受けた傷を治すための腫れで、一般的に24~48時間でピークを迎えそれから引いていくことが多いです。
自然に引いてくる腫れですが、冷やしすぎなければ、冷やしていただいても大丈夫です。

ケガによる腫れ

転んだり、打ったりしたことによる腫れも、処置後の腫れと同じく、腫れのピークはケガをしてから24~48時間です。
ケガの腫れも、冷やしても大丈夫です。

冷やすとよくない腫れ

冷やすと治りが悪くなるかもしれない腫れもあります。

化膿による腫れ

親知らずが化膿した場合など、化膿の仕方によっては顔まで腫れてくることがあります。
化膿したことによる腫れは、身体が細菌に対して攻撃することによって起こっているものなので、冷やさないようにしましょう。

クインケ浮腫

クインケ浮腫は、血管性浮腫ともよばれるかゆみや痛みを伴わない腫れのことで、歯科の領域では唇に見られることが多いです。
一般的にクインケ浮腫は、1~3日ほどで自然に消えるのですが、その原因はアレルギーやストレスなどが関係していると言われています。
冷たいものなどの物理的刺激によっても起こる可能性があるので、クインケ浮腫は冷やさないほうが良いです。

冷やすときの注意点

冷やしてはいけない方

実は、”冷やす”ということ自体が良くない方もいらっしゃいます。

血栓を生じやすい方

血栓は血管の中で固まった血液で、血管の中の血液の流れを妨げてしまいます。
血栓が生じた場所によっては、心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる状態に陥ります。
冷やすと血管が縮み、血液の流れが低下し、血栓を生じやすくなります。
不整脈や心臓弁膜症などの循環器系の病気がある方やがんの治療を受けている方、血栓症の方がご家族にいる方などは、血栓を作りやすいので冷やさないようにしましょう。

寒冷蕁麻疹の方

寒冷蕁麻疹は、冷たい水や空気などに触れることで生じる強いかゆみを伴う蕁麻疹です。
原因はよくわかっていませんが、冷たい水や空気が皮膚を刺激することで蕁麻疹の原因であるヒスタミンがたくさん分泌されるからではないかと考えられています。
寒冷蕁麻疹の方が冷やすと、その刺激が蕁麻疹を引き起こしかねないので、冷やしてはいけません。

冷やす際に注意がいる方

高齢の方は温度感覚が分かりにくくなっていることがあり、そのような方が冷やすと冷やしすぎて、皮膚の組織が傷ついてしまうことがあります。
皮膚の赤みや水ぶくれ、場合によっては凍傷に発展することもあるので、注意が必要です。

よくない冷やし方

お口の中を直接冷やさない

お顔が腫れたとき、多くの場合、原因の歯の周囲も腫れて痛くなっています。
そこに氷を当てるなどして直接冷やすのは控えてください。

保冷剤などを直接当てない

保冷剤はとても冷たい上、氷のように溶けないので冷やすのに便利そうですが、そのまま使うと冷たくなりすぎます。
保冷剤を使って冷やしたいときは、タオルで巻いて保冷剤が皮膚に直接触れないようにしましょう。

正しい冷やし方

最後に腫れたところを冷やしたい場合の正しい冷やし方とよくない冷やし方を説明します。

  • ①冷たい水道水でタオルを濡らす
  • ②腫れたところの上から軽く当てる
  • ③冷たくなりすぎたら、タオルを外して、しばらく待ってから再びタオルを当てる

これを繰り返すようにしてください。

まとめ

今回は、頬などお顔が腫れたときの冷やし方や注意点などについてお話ししました。
冷やすと、血管が縮んだり神経の働きが下がったりするので、腫れや痛みを軽くすることができます。
ですが、なんでも冷やしたらいいというわけではなく、冷やしていいのは、主に外科処置後の腫れとケガによる腫れです。
親知らずが化膿した場合など、細菌感染が原因と考えられる腫れの場合は、自己判断で冷やさず受診しましょう。
当院は、歯肉のようにお口の中の腫れだけでなく、お顔の腫れについても長年診察してきました。
もし、ご自身やご家族の方の顔が突然腫れて心配な方は、当院にぜひお越しください。



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