
親知らずを四本同時に抜く
[2025年05月21日]
はじめに
「親知らず、いっぺんに全部抜いても大丈夫?」
「親知らずを一気に4本抜いてしまった方が早く終わるのでは?」
と考える方は少なくありません。
実際には、親知らず4本を同時に抜歯することは可能です。
特に大学病院や口腔外科のような設備の整った医療機関では、日常的に行われている処置のひとつです。
ただし、すべての人に適しているわけではなく、術後の負担や生活への影響をよく考慮する必要があります。
この記事では、4本同時抜歯のメリットとデメリット、適応となるケース、手術の流れ、そして術後の過ごし方について詳しく解説します。
目次
1. 親知らずとは?
2. 親知らず4本同時抜歯のメリット
3. 親知らず4本同時抜歯のデメリットとリスク
4. 4本同時抜歯が適しているケース
5. 抜歯の流れ(全身麻酔の場合)
・術後の過ごし方と注意点
6. 術後の過ごし方と注意点
7. 術後によくある疑問とその対策
1. 親知らずとは?
親知らずとは「第三大臼歯」と呼ばれる、最も奥に位置する永久歯のことです。
通常、上下左右に1本ずつ、合計4本が生えてくるとされています。
生える時期は10代後半から20代前半が多く、顎のスペースが足りないことで、まっすぐに生えずに横や斜めに傾いて生えてくるケースがよく見られます。
このような異常な生え方をした親知らずは、手前の歯を圧迫して歯並びを乱したり、歯ぐきの腫れや痛みを引き起こしたりする原因となります。
また、奥に位置するために歯ブラシが届きにくく、虫歯や歯周病のリスクも高くなります。
そのため、トラブルが生じた場合には抜歯が検討されることになります。
2.4本同時抜歯のメリット
4本すべての親知らずに問題がある場合、一度にすべて抜いてしまうことで、治療の効率が大きく向上します。
たとえば、1本ずつ抜歯する場合は最大で4回の処置とそれぞれの回復期間が必要となりますが、同時抜歯であれば、1回の処置と回復期間で完結します。
また、全身麻酔や静脈内鎮静法を用いることで、処置中の痛みや不安を感じずに済むという利点もあります。
術後の腫れや痛みも1回で済むため、スケジュール調整のしやすさという点でもメリットがあります。
特に、休暇中にまとめて治療を済ませたい学生や社会人にとって、通院回数や治癒期間を最小限に抑えられる点は大きな利点と言えるでしょう。
3.4本同時抜歯のデメリットとリスク
一度に複数の歯を抜くため、術後の腫れや痛みが強く出る可能性があります。
特に、下顎の親知らずは骨の中に深く埋まっていることが多く、術後に口が開きづらくなる、飲食がしにくくなるといった影響が出やすくなります。
また、下顎の親知らずは、下歯槽神経という知覚神経に近接していることがあり、抜歯時に神経を損傷すると、下唇や舌にしびれや感覚の異常が残るリスクがあります。
こうしたリスクを避けるために、事前の画像診断(パノラマレントゲンやCT)による評価が重要です。
さらに、歯の状態や全身の健康状態によっては、全身麻酔が必要になったり、入院が求められることもあります。
この場合は、一般的な歯科医院では対応が難しく、大学病院などの専門医療機関での対応が必要になります。
4.4本同時抜歯が適しているケース
4本すべての親知らずに虫歯や炎症、埋伏の問題がある場合、治療効率の面から同時抜歯がすすめられることがあります。
また、術後の管理を一度に済ませたい、長期の休暇が取れるタイミングを利用したい、遠方から通っているため来院回数を減らしたいという理由でも適応になることがあります。
とくに、全身麻酔による抜歯を希望している方は、1回の処置で終えられることが大きな利点となります。
5.抜歯の流れ(全身麻酔の場合)
4本同時抜歯は、以下のような流れで行われることが一般的です。
まず、初診では問診と診察のほかに、パノラマレントゲンやCT撮影によって歯の位置や神経との関係性を確認します。
続いて、血液検査や心電図などの術前検査を行い、全身麻酔が可能かどうかを評価します。
手術は1〜2泊の入院中に行われ、全身麻酔下で4本すべての抜歯を一度に行います。
手術自体の所要時間は約1〜1.5時間程度です。
術後は、腫れや痛みのコントロール、感染予防のための管理を行い、退院後は1週間程度で抜糸と経過観察のための受診が必要となります。
・術後の過ごし方と注意点
抜歯後2〜3日は、腫れや痛みのピークとなります。
その後、1週間ほどかけて徐々に改善していきます。
食事はしばらくの間、冷たくてやわらかいもの(おかゆやゼリーなど)に限定し、硬いものや熱いものは控えます。
また、術後すぐの飲酒・喫煙・激しい運動は血流を促進し出血の原因となるため、避ける必要があります。
処方された抗生物質や痛み止めは指示どおりに服用し、うがいや歯みがきは傷口を避けて優しく行います。
6.術後に気になること
4本同時に親知らずを抜歯した場合、手術の翌日以降は日常会話程度であれば可能ですが、腫れや痛みの影響で話しにくさを感じることがあります。
特に術後2〜3日は口が開けにくく、発音もしづらくなることがあるため、大切な予定や人前での発表などは1週間ほど避けておくと安心です。
費用に関しては、健康保険が適用されるケースでは、自己負担額はおおむね1〜2万円程度となります。
ただし、全身麻酔を使用したり入院が必要になる場合には、その分の追加費用が発生します。医療機関によって費用は異なるため、事前の確認が重要です。
また、4本すべての親知らずを一度に抜歯する場合、設備や人員体制の整った医療機関での処置が必要になります。
通常の歯科医院では対応が難しいこともあるため、大学病院や口腔外科への紹介を受けて治療を進めることが一般的です。
かかりつけの歯科医院がある場合は、まずそちらで相談し、適切な医療機関への紹介を受けるとスムーズです。
7.まとめ
親知らず4本を同時に抜歯することには、治療効率を高めるという大きなメリットがあります。
一度の処置で済むため、仕事や学校の休暇を利用して治療を済ませたい方にとっては非常に有利です。
しかし、親知らず4本同時抜歯は、一度に処置を終わらせたい方にとっては効率的な選択肢ですが、術後の回復やリスクをよく考慮して決定する必要があります。
事前にかかりつけの歯科医師と相談し、自分の状態に合った治療法を選ぶことが重要です。
親知らずの抜歯について不安や疑問がある方は、ぜひ〇〇歯科にご相談ください。
患者様の状態に合わせた最適な治療方法を提案し、術後のケアも万全にサポートいたします。
まずはお気軽にご予約・ご相談ください。