
歯科治療時の麻酔が効かなくて怖い
[2025年10月14日]
はじめに
麻酔が効かない理由や、歯科医院での麻酔の工夫を詳しく解説しております。歯科治療が怖い方は、まず定期健診などを受ける、かかりつけの歯科医院を作ってもらいたいと思います。リラックスして治療を受けることができる歯科医院があるのが一番です。
こちらの記事で、安心できる治療を提供するための歯科医院の工夫を知っていただければ幸いです。
目次
- ◯歯医者での麻酔
- ◯麻酔が効きにくい原因
- ◆治療部位
- ◆炎症が強い
- ◆飲酒の習慣や抗うつ薬や鎮痛薬を服用している
- ◆体調不良や緊張
- ◯歯科医院での工夫
- ◆痛くない麻酔
- ◆麻酔の効果を上げる工夫
- ◯患者さんができること
- ◆患者さんにして欲しいこと
- ◯まとめ
歯医者での麻酔
「歯医者が怖い」と言われている理由の1つに、治療のときに麻酔が効かなくて痛かった、ということが挙げられるのではないでしょうか。また、麻酔の注射が痛かった、という話もよく効きます。
しかし、最近では痛くない麻酔、よく効く麻酔が技術の進歩と伴に開発されています。こちらの記事では、最新の歯科医院の麻酔事情についてご紹介します。麻酔が効かなくて怖い、と思っている方はぜひ参考にしてください。
麻酔が効きにくい原因
本来、歯科治療時には十分な量の麻酔を使うので、麻酔が効かないことは稀です。麻酔が効きにくいときは何か原因があります。こちらでは麻酔が効きにくい原因を解説します。
治療部位
麻酔の効きやすい順は、上の前歯⇒上の奥歯⇒下の前歯⇒下の奥歯になっています。下顎骨は上顎骨よりも表面の骨である皮質骨が分厚く、麻酔が浸透しにくいのが原因です。下の親知らずの抜歯が痛かったとよく聞くのは、骨が分厚く、麻酔が効きにくいからです。
炎症が強い
炎症が強いと、麻酔は効きにくいです。例えば、抜歯する際に腫れや痛み、出血などの炎症が強い場合は麻酔が効きにくいことがあります。炎症を起こしている部分は酸性で、麻酔薬はアルカリ性なので麻酔薬が中和されて効きにくくなってしまうのが原因です。そのため、炎症があまりにも強い場合は外科処置が延期になることがあります。
飲酒の習慣や抗うつ薬や鎮痛薬を服用している
アルコールや抗うつ薬・鎮痛薬は肝臓で分解されます。飲酒の習慣や薬を服用している方はこの化学物質を分解する酵素が増えていることがあるので、麻酔薬が分解されるのが速く、麻酔の効果が持続しにくいことがあります。
服用している薬がある場合はお薬手帳をご持参ください。
体調不良や緊張
治療に対して不安やトラウマがある方は、痛みに敏感になっていることがあります。そのため、麻酔が効きにくく感じてしまいます。
なかなか、歯の治療をリラックスして受けることは難しいと思いますが、信頼できるかかりつけ医を見つけるなど、ご自身がリラックス出来る環境を選びましょう。
元々、麻酔が効きにくい体質の方もいらっしゃいます。そのような方には、麻酔の量を増やしたり、随時対応していきますのでご安心ください。
歯科医院での工夫
麻酔が効きにくいときや麻酔が効きにくい体質の方でも、外科処置をする必要があるときもあるでしょう。
歯科医院でも、麻酔の効力を上げる、痛くない麻酔をするための工夫があります。こちらでは歯科医院での麻酔の工夫をご紹介します。
痛くない麻酔
痛くない治療をするには、麻酔を効かせる必要があります。そのための歯科医院の工夫をご紹介します。
- 表面麻酔をする
注射の局所麻酔をする前に、表面麻酔のジェルを塗って、注射の痛みを和らげます。 - 麻酔薬を温める
麻酔薬と体温に差があると、痛みが出やすいので麻酔薬を術前に温めておきます。 - 電動麻酔器を使用する
電動麻酔器を使用することで、ゆっくりと麻酔薬を注入でき痛みを和らげることができます。注入速度の微調整が可能なので、歯科医師のテクニックによることなく、安定した局所麻酔をすることができます。 - 歯科医師のテクニック
熟練の歯科医師になると、局所麻酔のテクニックがあり、痛みが少ない箇所、注射器への力の入れ方など各個人による工夫があります。
麻酔の効果を上げる工夫
麻酔の効果が術中切れてしまうと、痛みが出てしまうので、麻酔の持続時間を長くさせる工夫もしています。
- 炎症を和らげる
炎症が起こっていると麻酔が効きにくいです。抗菌薬などで炎症をおさえてから麻酔をすることがあります。 - 麻酔薬を追加する
歯科治療でよく使われる浸潤麻酔はリドカインのカートリッジを使っております。ほとんどの処置でカートリッジ1〜2本注射しますが、1回あたりの最大量は14〜15本程可能です。
もし麻酔の効きが悪い場合、カートリッジを追加しますが、こんなにも多く追加することはまずありませんので、安全性には何の問題もありません。 - 伝達麻酔に変える
ほとんどの歯科での処置は浸潤麻酔といって、治療する歯の近くに打って局所的に効かせる麻酔ですが、浸潤麻酔が効かない場合は伝達麻酔にすることがあります。
伝達麻酔は太い神経の近くに打つ麻酔なので、広範囲に麻酔を効かせることができます。浸潤麻酔が届かない範囲や炎症が強い部分にも効きやすいのが特徴です。 - 手術の日を変更する
炎症がひどい、体調が悪い場合は、無理をせず外科処置を変更する方がよい場合があります。当日の体調をみて決めることになります。
患者さんができること
歯科治療はただでさえ怖いイメージがある中、抜歯などの外科治療を恐怖に感じる方もいらっしゃると思います。しかし、麻酔はほとんどの場合効くもので、途中で効果が薄まったとしてもすぐに追加するので痛みを感じることはほぼありません。
こちらでは麻酔が苦手な患者さんができることをご紹介します。
患者さんにして欲しいこと
- リラックスする
緊張していると、痛みに敏感になることがあります。緊張することを事前に歯科医院に伝え、相談してみましょう。 - 痛みを我慢しない
痛みは我慢しないでください。麻酔が効いているかを確認する上で、痛みがあるかどうかはたいへん大切です。 - かかりつけの歯科医院を作る
かかりつけの信頼できる歯科医院を作りましょう。少しでも安心できる環境でリラックスしながら治療を受けることがベストです。
まとめ
麻酔が効かなくて痛い思いをするかもしれない、怖いというお悩みはよく効きます。しかし、麻酔はほとんどの場合、十分に効きます。また、痛みがある、と感じた場合も我慢せずに早めに教えて下さい。麻酔を足したり、よく効かせる方法もあるので、体質だからと言って痛みを我慢する必要はありません。
歯科医院側も患者さんに苦痛をできるだけ与えることなく、治療をしたいと考えております。不具合を感じた場合は遠慮せずにすぐにご相談ください。