治療中に「唇や口の中を切られるんじゃないか」と不安になるあなたへ
[2025年11月21日]
はじめに
「治療中、器具が唇や頬に当たりそうでヒヤッとしたことがある」
そう感じたことはありませんか?
歯科治療は口の中という繊細な場所で行われるため、音や動きが怖く感じるのは自然なことです。
実際、歯科医療現場では、患者さんの多くが「器具が当たりそう」「動けないのが怖い」といった不安を抱いています。
この記事では、なぜそんな不安が生まれるのか、そして歯科医院側の安全対策、患者さん自身ができる工夫をお伝えします。
不安を少しでも軽くし、安心して治療を受けられるようお手伝いできれば幸いです。
目次
- ◯なぜ“切られる不安”を感じるのか
- ◆高速回転器具の音や振動による緊張
- ◆大きく口を開けた姿勢による無防備感
- ◆過去の痛みやトラウマの影響
- ◯歯科医院で行われている安全対策
- ◆粘膜を守るための工夫
- ◆器具の操作はチームでコントロール
- ◆感染・衛生管理も徹底
- ◯患者さん自身ができる工夫
- ◆不安を事前に伝える
- ◆唇の乾燥を防ぐ
- ◆合図を決めておく
- ◯それでも不安が強い場合は
- ◆リラックス治療を選ぶ
- ◆恐怖症対応や小児歯科の医院を利用する
- ◆音や光への配慮がある医院も
- ◯まとめ
なぜ“切られる不安”を感じるのか
高速回転器具の音や振動による緊張
歯科治療中に聞こえる「キーン」という音。
この音や手に伝わる振動は、脳が「危険」と感じやすく、自然と体がこわばります。
さらに、自分の視界から見えない位置で器具が動いているため、「何をされているのかわからない」という不安も加わります。
大きく口を開けた姿勢による無防備感
治療中は口を大きく開け、動けない状態が続きます。
その“無防備さ”が心理的なストレスを増し、「避けられない」「もし当たったらどうしよう」という不安を強めてしまうのです。
過去の痛みやトラウマの影響
以前に口内炎や小さな傷を経験したことがある人は、そのときの痛みを思い出して不安を感じることがあります。
また、過去に歯科治療で違和感や痛みを感じた経験がある場合、それがトラウマとなり、緊張が強く出てしまうこともあります。
歯科医院で行われている安全対策
粘膜を守るための工夫
歯科医師やスタッフは、ミラーやバキューム(吸引器)を使って唇や頬、舌をしっかり保護しています。
器具が粘膜に直接触れないよう常に位置を調整しながら治療を行っています。
器具の操作はチームでコントロール
治療中に使う高速回転器具は、歯科医師とアシスタントが連携して操作します。
器具の先端の動きや位置を常に確認しながら、患者さんの安全を最優先に進めています。
感染・衛生管理も徹底
使用する器具は患者さんごとに必ず滅菌・交換しています。
器具の清潔さを保つことで、傷口からの感染リスクを防ぐことも徹底しています。
このように、歯科医院では「切ってしまうかも」「当たりそう」といった事故を防ぐための安全管理が日常的に行われています。
患者さん自身ができる工夫
不安を事前に伝える
「器具が怖い」「音が苦手」「当たりそうで不安」と感じていることを、遠慮せず歯科医師やスタッフに伝えましょう。
事前に伝えてもらうことで、治療中の姿勢や器具の操作スピードを調整し、より安全に治療を進められます。
唇の乾燥を防ぐ
治療中に唇が乾いていると、少し引っ張られただけでも切れてしまうことがあります。
治療前にリップクリームで保湿しておくだけで、粘膜のダメージを防ぐことができます。
乾燥しやすい季節や、長時間の治療の前には特におすすめです。
合図を決めておく
「痛い」「当たりそう」と感じたときに、手を上げるなどの合図を決めておくと安心です。
治療を中断して確認してもらえるため、我慢してストレスをためる必要がなくなります。
この“伝えられる環境”が、不安を大きく減らしてくれます。
それでも不安が強い場合は
リラックス治療を選ぶ
強い緊張や恐怖を感じる方には、静脈内鎮静法というリラックス治療も選択できます。
点滴で鎮静薬を投与し、眠るような穏やかな状態で治療を受ける方法です。
治療中の記憶がほとんど残らないため、歯科恐怖症の方にも適しています。
恐怖症対応や小児歯科の医院を利用する
恐怖心の強い方には、恐怖症対応の歯科医院や小児歯科もおすすめです。
コミュニケーションを重視し、患者さんのペースに合わせてゆっくり進めてくれる医院も増えています。
音や光への配慮がある医院も
「音が苦手」「ライトの光がまぶしい」といった感覚過敏のある方にも、近年は対応が進んでいます。
治療前に伝えておけば、音を抑えた器具や光を弱めた照明などの調整を行ってくれる場合もあります。
まとめ
歯科治療中に「器具が当たりそうで怖い」と感じるのは、決してあなただけではありません。
その不安を我慢する必要はなく、むしろ伝えることで安全性も快適さも高まります。
私たち歯科医師は、患者さんが安心して治療を受けられるように配慮し、常に安全な環境づくりを心がけています。
少しでも怖いと感じたときは、ぜひその気持ちを伝えてください。
あなたの一言が、より安心でやさしい治療につながります。








