お口の中の環境を整えて若返りホルモンを増やそう
[2025年12月21日]
はじめに
唾液の働きというと、”汚れを洗い流す””虫歯や歯周病を防ぐ””傷を治す””細菌の繁殖を抑える””食べ物を消化する”などがよく知られていますが、それだけではありません。
唾液には”若返り”、すなわちアンチエイジングの働きもあります。
今回は、唾液のアンチエイジング作用についてご紹介します。
この記事を最後までお読みいただくと、唾液がアンチエイジング、すなわち”若返り”にどのような効果があり、どうすればその働きを増やせるのかなどがお分かりいただけると思います。
目次
・唾液の”若返り”作用について
ー 若返りホルモン”パロチン”
ー 若返りさせる理由
ー パロチンの作用の仕組み
ー パロチンの他の働き
・唾液の若返り作用を高める方法
ー ご自身でできること
ー お口の環境を整える
・まとめ
唾液の”若返り”作用について
唾液にどうして”若返り”の作用があるのか、まずそこから説明します。
若返りホルモン”パロチン”
唾液の若返り作用は、”パロチン”という唾液腺から作られるホルモンの働きによるものです。
パロチンは、耳下腺(パロティス)という唾液腺から発見されたため、このような名前が付けられました。
若返りさせる理由
パロチンには、新陳代謝を活発化させる働きがあります。
新陳代謝とは、古くなった細胞を新しい細胞に生まれ変わらせる働きです。
お肌、骨、私たちの身体は新陳代謝により常に新しい細胞に置き換えられています。
お肌の細胞が新しいものに生まれ変わると、シミやシワも防げるので、若返りが図れます。
パロチンが若返りホルモンとよばれる理由は、この新陳代謝を活発にする働きを持っているからです。
パロチンの作用の仕組み
パロチンは唾液腺から分泌されますが、通常はそのまま口腔内に放出されるため、体内の細胞には直接作用しません。
では、パロチンはどのようにしてホルモンとしての働きをしているのか、それは、体内への再吸収です。
唾液腺で作られたパロチンは唾液と一緒に唾液腺からお口へと続く導管を通りますが、お口に出る直前で、導管の一部の細胞がパロチンを取り込み、血液に吸収されます。
そして、体の中に運ばれます。
パロチンはこのようにして、体のさまざまな臓器に運ばれて作用すると考えられています。
パロチンの他の働き
骨粗鬆症の予防
パロチンは、骨にカルシウムが戻りやすくする作用があり、骨を強くします。
特に高齢の方の場合、骨にカルシウムが戻ると骨粗鬆症を防ぐ効果も期待できます。
虫歯の予防
パロチンは骨だけでなく、歯にもカルシウムが戻りやすくします。
このため、虫歯菌に溶かされた部分を修復する再石灰化にもパロチンは作用を発揮してくれます。
唾液の若返り作用を高める方法
唾液の若返り作用を高めるには、唾液を増やすことです。
ご自身でできる唾液の増やし方
よく噛んで食べる
唾液は、噛めば噛むほど分泌されます。
食事のとき、しっかり噛んで食べるようにしましょう。
目安としては1口30回程度噛むとよいでしょう。
耳下腺マッサージ
パロチンを作り出す耳下腺の働きは年齢とともに弱くなっていきます。
そこで、耳下腺をマッサージすれば耳下腺の働きを保つことができるので、マッサージもおすすめです。
耳下腺は耳たぶの下あたりより少し前側にあります。
耳下腺マッサージは、この辺りを指全体で円を描くように優しく押さえて耳下腺を適度に刺激します。
毎日行うことで耳下腺の働きが高まり、パロチンが出やすくなります。
酸っぱいものを想像してみる
梅干しを想像したら、それだけで唾液が出てきた経験ありませんか?
酸っぱいものをイメージするだけで唾液の分泌が促されますので、梅干しやレモンなど酸っぱい食べ物を想像してみるのも、パロチンの分泌促進に役立ちます。
唾液を増やすためのお口の環境の整え方
噛めば噛むほど唾液は増えますから、歯科医院を受診してしっかり噛めるようお口の環境を整えておくことも大切です。
虫歯や歯周病を治す
歯が痛かったり、グラグラしたりするようではしっかり噛むことはできません。
虫歯や歯周病がある方は、歯科医院で治療を受けてください。
歯がない部分の治療をする
歯が抜けたままになっているところがあれば、そこでは噛めません。
歯が揃って初めてしっかり噛むことができますから、抜けたままになっているところがあればその治療も受けるようにしましょう。
治療法は主に、ブリッジ、入れ歯、インプラントの3つです。
ご自身の状態に適した方法を選んで、噛み合わせを回復させてください。
虫歯や歯周病の予防
虫歯や歯周病の治療、抜けたところの治療が終われば、虫歯や歯周病の再発を予防しましょう。
虫歯や歯周病の予防は、まずはご自身での毎食後の歯磨きです。
そして、歯科医院での定期的なメンテナンスです。
磨き残しているところをきれいにしたり、虫歯や歯周病の原因であるプラークの温床となる歯石を専用の機械を使って取り除いたりします。
磨き方が足りない方は、歯磨きの方法を説明するほか、ご自身に適した歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスのご紹介などもさせていただきます。
まとめ
今回は、唾液の若返り作用についてお話ししました。
唾液の働きというと、”洗浄作用””抗菌作用””再石灰化作用”などがよく知られていますが、若返り作用も持っています。
食べ物を噛むと唾液が出ますから、しっかり噛むことがアンチエイジングにつながります。
しっかり噛むためには、歯が丈夫でなければなりません。
そのためには、”虫歯や歯周病のある方はきちんと治療を受ける””虫歯や歯周病がない方は虫歯や歯周病を予防する”など、しっかり噛める状態を保つことが大切です。
当院は、歯の見た目だけでなく、歯の役割のひとつである”噛む”ことも重視して診療にあたっています。
私たちと一緒によく噛める状態を保ち、健康で若々しい状態を保つようにしませんか?








