唾液と歯石沈着の関係
[2026年01月28日]
◯目次
- はじめに
- 唾液の成分
- 唾液の役割
- 唾液の粘つきはどうやって決まる?
- 唾液と歯石の関係
- 唾液のネバネバを治すには
- まとめ
◯はじめに
唾液が粘つくように感じたことはありませんか。唾液の粘度はムチンという成分が関わっています。唾液の粘つきは不快を感じるだけでなく、歯石が沈着しやすくなったり、口臭や歯周病のリスクにもなります。
この記事では、唾液の働きをご紹介するとともに、唾液の粘度が歯石にどう影響するのかを解説したいと思います。また、ネバネバ唾液の改善法もご紹介するので、唾液の粘つきが気になる人は試してみてください。
◯唾液の成分
唾液はたくさんの成分から作られています。その成分にはそれぞれの役割があり、人体に役立つように働いています。
こちらでは、唾液の成分と役割をみていきましょう。
◆唾液の成分と役割
唾液に含まれる主な成分と、その役割を以下にまとめました。
| ムチン | 糖タンパク。水分保持・潤滑作用がある。唾液の粘度に関係する。 |
| アミラーゼ | 消化酵素。でんぷんを分解する。 |
| リゾチーム | 抗菌・殺菌作用がある。グラム陽性菌の細胞壁を分解する。 |
| ペルオキシダーゼ | 抗菌・殺菌作用がある。 |
| ラクトフェリン | 鉄イオンを細菌から奪い抗菌作用を示す。 |
| ヒスタチン | 抗真菌作用があり、カンジダ菌の増殖を抑える。 |
| IgA | 粘膜免疫の中心を担う抗体。 |
| βディフェンシン | 抗菌ペプチドの1つ。 |
| 神経成長因子 | 神経細胞の成長や維持に関係する。 |
| 上皮成長因子 | 細胞のターンオーバーや、治癒に関わる。 |
| 線維芽細胞成長因子 | 治癒に関わる。 |
唾液の成分は消化を助けたり、抗菌作用があったり、とたくさんの働きをしています。
唾液の粘度には糖タンパクであるムチンが関わっています。ムチンの量が多いほどネバネバする唾液になります。
◯唾液の役割
口は、一番初めに食物や空気が入ってくるところです。唾液にはたくさんの働きがあり、消化を助けたり、細菌の繁殖を抑えたりする作用があります。こちらでは唾液の作用を詳しくみていきましょう。
◆消化作用
消化液であるアミラーゼが、でんぷんとグリコーゲンを分解します。
◆保護・潤滑作用
ムチン等の糖タンパクは水分を保持する働きがあるので、口腔の粘膜の表面を湿潤に保ち保護します。
◆抗菌・殺菌作用
口は食べ物や空気の入口であるため、多様な雑菌が入り込みやすいので、それらに対抗するため、抗菌・殺菌物質が多く含まれています。
◆pH緩衝能
重炭酸イオンが、細菌によって産生される酸を中和することによって、歯の成分であるハイドロキシアパタイトの脱灰を抑制します。
◆抗脱灰作用
唾液には高濃度のカルシウムイオンとリン酸イオンが存在するので、エナメル質の脱灰を防いでくれます。しかし、カルシウムイオンが多すぎると歯石が付着する原因になります。
◆味覚発現作用
味覚は、物質が唾液に溶けている状態でしか感じられません。味わうためには唾液が必要ということです。
◆食塊形成作用
唾液は、咀嚼によって小さく粉砕された食べ物を、まとめて食塊を形成するのに役立ちます。食塊を作ることによってスムーズな嚥下ができるようになります。
◆洗浄作用
歯や粘膜に付着した食べカスを洗い流します。そのため唾液腺の近くは唾液によって食べカスが洗い流されやすく、むし歯になりにくいとされています。
◆排泄作用
唾液は血液から作られるため、血液中に含まれる薬剤やウイルスが検出されることがあります。そのため、ウイルスが唾液中に排泄され、飛沫によって感染することがあり得ます。
◯唾液の粘つきはどうやって決まる?
唾液は粘度の高い液体で、99%以上が水分で、残りの1%以下が無機イオンとタンパク質の有機質から成っています。この中のムチンの量が粘度に関わってきます。
この成分は毎日一定しておらず、刺激や血液の状態、体調などによっても変わります。唾液が粘つきやすい日があるのはこれが理由です。
◆唾液が粘つく原因
唾液が粘つく原因はいくつかあります。
- ドライマウス
- 細菌の増殖
- 交感神経優位
- ストレスや疲れ
- 体質
口腔内の細菌が増殖するとネバネバしたバイオフィルムを作り出します。ドライマウスや歯周病は細菌が増えやすい環境なので、口の中に粘つきを感じやすくなります。
また、ストレスや疲れなどで交感神経が優位になっても唾液の粘性が上がります。交感神経が優位になると、唾液の粘つきの原因となるムチンが多く分泌され、唾液の粘つきの原因になります。
唾液のベタつきの主な原因は、細菌の増殖とムチンだと言えるでしょう。
◯唾液と歯石の関係
では、唾液と歯石の関係をみていきましょう。唾液と歯石の関係については、現在はっきりとは分かっておらず、粘性や量、分泌速度、男女差などの個人差によっても大きく異なるとされています。
しかし、唾液と歯周病についての興味深い実験データがあるので、ご紹介したいと思います。
◆唾液の粘つきと歯周病との関係
唾液の粘つきは、前述した通り糖タンパクであるムチンの量によって決まります。
歯周病が進行すると、唾液の中のムチンの量が増え、粘つきが増すのが分かっています。それに伴い、歯石の付着率がアップします。
この実験の結果として、ムチンが増えると、唾液のネバつきは増し、それに伴い、歯石の付着率や歯槽骨の吸収度などの歯周病の悪化を示す指数も上がることが示されました。
つまり、ネバネバの唾液は歯周病を悪化させることが分かりました。
◆唾液のpHと歯石
歯石の沈着が多い人では、唾液中に含まれるカルシウム量が多い傾向にあることが分かっています。歯石はカルシウムからできているので、カルシウムが歯に付着し、石灰化してしまうことからできやすくなります。
唾液中のカルシウムが多いとpHが高くなり、つまりアルカリ性の場合、歯石が付きやすい環境だと言えるでしょう。
唾液のpHが高いと、歯石がつきやすく歯周病になりやすいですが、むし歯にはなりにくいという特徴があります。
◯唾液のネバネバを治すには
唾液がネバネバしていると不快ですよね。こちらでは唾液のネバネバの解消法をご紹介します。
◆唾液のネバネバの解消法
唾液をサラサラにする方法をまとめました。
▶︎唾液腺マッサージ
唾液腺にはネバネバが強い唾液腺である舌下腺・顎下腺と、サラサラの唾液が出る唾液腺である耳下腺があります。
唾液のネバつきが気になる人は、サラサラの唾液を増やすために耳下腺のマッサージをおすすめします。耳下腺は耳の付け根の横にあるので、優しく刺激してマッサージしてあげましょう。
▶︎細菌を減らす
丁寧な歯磨きや、マウスウォッシュで口の中の細菌を減らしましょう。
▶︎ストレスを減らす
ストレスが強いと交感神経が興奮し、粘つきが強い唾液が出やすくなります。なるべくストレスを減らしましょう。
▶︎水分を摂る
唾液はほとんどが水分でできています。水分摂取量が少ないと唾液のネバつきが増してしまいます。普段から唾液のネバつきが気になる人は、ドライマウスにならないように水分摂取を心がけましょう。
◯まとめ
現在、唾液のネバつきと歯石の付着しやすさについてのはっきりとした因果関係は分かっていません。しかし、唾液がネバネバしていると、歯周病が悪化し、歯石が付きやすいことは分かっています。
唾液がネバネバしていると感じたら、水分を摂取する、歯磨きをする、耳下腺マッサージを行うなどして、ネバつきを抑えましょう。








