【子供の虫歯はあなたが原因?】親から子へと広がる虫歯の正体

[2022年01月21日]

こんにちはMM歯科クリニック院長の山脇です。

虫歯の原因といえば、ミュータンス菌という細菌です。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、感染症というと新型コロナウイルスがイメージされるようになりましたが、実はミュータンス菌によって引き起こされる虫歯も感染症のひとつです。

虫歯の原因となるミュータンス菌はどこからやってくるのかご存じでしょうか。

答えは、お子さんの周囲の人々の唾液です。
ミュータンス菌の経路を断てば、虫歯のリスクをグッと抑えることができるようになります。
そこで、今回はミュータンス菌の感染経路についてお話しします。

〈生まれたばかりの赤ちゃんの中にはいない〉
驚かれるかもしれませんが、実は生まれたばかり赤ちゃんのお口の中には、ミュータンス菌はいません。
赤ちゃんは、お母さんのお腹の中にいる間は、無菌状態にあります。

そして、生まれてくるときに、産道でいろいろな細菌に触れて赤ちゃんに細菌が定着するようになります。
ところが、産道にはミュータンス菌はいません。

ミュータンス菌がいるのは、お口の中だけです。
ですから、出産時に赤ちゃんのお口の中にミュータンス菌が入り込むことはありません。
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、ミュータンス菌はいないのです。

〈ミュータンス菌の感染経路〉
では、ミュータンス菌はどのようにしてお子さんのお口の中に入り込むのでしょうか。
ミュータンス菌を運び込んでくるのは、唾液です。

言い方を変えると、口から口へとミュータンス菌が広がっていきます。
これが、ミュータンス菌の感染経路です。

○食事
歯が生え始めると、赤ちゃんは離乳食が始まります。
離乳食を作ったときに、親御さんが温度や味を確かめようと味見したスプーンを使って離乳食をすくったら、このスプーンを介してミュータンス菌が赤ちゃんのお口に入り込みます。

口移しで食べさせるとミュータンス菌がダイレクトに赤ちゃんのお口に入り込んでしまいます。
意外なところでは、熱いから冷まそうと息を吹きかけるのも、要注意です。

また、離乳食が終わると味の濃さは別として、大人たちと同じような食べ物を食べるようになります。
日本には、大皿に料理を盛って取り分ける文化があります。

取り分けるときに、各自が使ったお箸やスプーンを使うと、やはりミュータンス菌が広がってしまいます。
取り箸を使い、唾液が食べ物に接触しないように注意しましょう。

○キス
愛情表現として、赤ちゃんにキスするのも、ミュータンス菌が感染する原因となります。
キスしたくなる気持ちはわかりますが、ここはお子さんのためにもグッと我慢してください。

○おもちゃ
少し大きくなると、他のお子さんと遊ぶようになります。
小さいお子さんは、なんでもすぐに口に入れてしまいます。

もし、一緒に遊んでいる他のお子さんがミュータンス菌を持っていたら、そのお子さんが口に入れたおもちゃを介してミュータンス菌がうつってくるかもしれません。

〈3歳ごろまでは要注意〉
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中にはミュータンス菌などの虫歯菌はいません。
ところが、幼稚園や小学生にもなると、お口の中にミュータンス菌が住み着いています。
いつ、ミュータンス菌はお子さんのお口の中に入り込み、定着したのでしょうか。

○感染の窓
ミュータンス菌は、歯の表面に住み着く性質を持っていますので、歯がないと住み着くことはできません。
歯が生えていない月齢では、ミュータンス菌はお口の中に入り込んでも住み着くことはできません。

生後6ヶ月ごろになると前歯から歯が生え始めます。
この頃から、ミュータンス菌が住み着く土壌ができ始めます。

したがって、乳歯が生え始めたなら、いつでもミュータンス菌はお口の中に住み着くことができるようになります。
ところが、ミュータンス菌がお口の中に住み着くリスクはいつも同じというわけではありません。

特にお口の中に住み着きやすい時期があります。
それは、1歳半ごろから2歳半ごろの間です。
この時期を私たちは『感染の窓』とよんでいます。
『感染の窓』に気をつけて、少し余裕を持って3歳ごろまでミュータンス菌を寄せ付けなければ、大人になってからも虫歯になりにくくなります。

〈親御さんのミュータンス菌も減らそう〉
食事やキスなど気をつけていても、例えばお子さんの顔の近くで話しかけたときに、唾液が飛んでしまうかもしれません。

咳やくしゃみをすることもあるでしょう。
咳やくしゃみをすると意外と遠くまで唾液が飛び散ります。
このようなときに、ミュータンス菌が広がるリスクを少しでも減らすために、ご自身のお口の中のミュータンス菌をあらかじめ減らしておくことをおすすめします。

○セルフケア
ミュータンス菌は、歯の表面のプラークの中に潜んでいます。
プラークを取り除いたり、減らしたりすると、ミュータンス菌も減らせます。

そこで、毎食後の歯磨きをより丁寧にするようにしてください。
歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯と歯の間まできれいに磨いてください。

○プロフェッショナルケア
どれだけ歯磨きを丁寧にしても、どうしても磨けないというところはあるものです。
また、歯の表面についた歯石は、歯磨きでは取り除けないばかりか、プラークの温床となってしまいます。
このような歯磨きでは取りきれないプラークや歯石は、歯科医院で取り除いてもらってください。

これがプロフェッショナルケアです。
お口の中のミュータンス菌を減らすには、ご自身によるセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアの二人三脚が欠かせません。

〈まとめ〉
今回は、ミュータンス菌の感染経路についてお話ししました。
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、ミュータンス菌はいません。
唾液を介して他の人から移り、お口の中に住み着くようになります。



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