保険診療で小児矯正は受けられる?対象となる場合について

[2023年03月28日]

こんにちは

日本は、国民皆保険のもと、病気にかかれば保険診療で低コストで治療を受けることができます。

お子さんの歯列不正に対する矯正治療も”治療”といいますから、病気の治療のように保険診療で受けられそうに思われる方もいらっしゃるかもしれません。

あまり知られていませんが、保険診療で受けられる子供の矯正治療もあります。

どのような場合に保険診療で子供の矯正治療を受けられるのでしょうか。

今回は、保険診療で受けられる子供の矯正治療についてお話ししようと思います。

 

保険診療で矯正治療が受けられる条件

保険診療で矯正治療が受けられるケースは、3種類しかありません。

 

永久歯が3本以上生えてこないことによる噛み合わせの異常

永久歯が3本以上生えてこないことで噛み合わせがおかしくなっている場合です。

ただし、この生えてこない3本以上の永久歯とは、顎の中に埋まったままになっていて、顎の骨に穴を開けて引っ張り出さなければならないほどの歯に限られています。

 

厚生労働大臣が定めた病気によって生じた噛み合わせの異常

矯正治療を保険診療で受ける条件として厚生労働大臣が定めた病気とは、この場合は顎や口元の奇形や変形を生じさせる先天異常です。

唇顎口蓋裂、ダウン症候群、筋ジストロフィーなど、お聞きになったことがある病気も含まれていますが、対象となる病気は60弱にもなるので、すべてを書くのは避けたいと思います。

お子さんが先天異常の病気をお持ちの方は、主治医や歯科医師にご相談ください。

 

顎変形症による噛み合わせの異常

顎変形症とは、顎の骨格の形やサイズ、位置関係の異常によって顔や口元の形に異常を生じた病気です。

顎変形症になると、矯正治療に加えて顎の骨切り手術である顎矯正手術を受けなければ改善することはできません。

顎変形症は子供の矯正治療ではなく、大人の矯正治療に関わる病気なので、今回のテーマからは少し外れてしまいます。

 

保険診療で受けられる矯正治療が限られている理由

保険診療で矯正治療を受けられる条件についてご紹介しましたが、当てはまるお子さんはほとんどいません。

当てはまる方は例外といってもいいほど、珍しいです。

多くの方が矯正治療が保険診療で受けられなくなっているのには理由があります。

 

見た目の問題は美容だから

たとえ歯並びが悪くても、食べ物をしっかりと噛めるなら、噛み合わせは悪くない、見た目の問題であり、病気ではないと厚生労働省が考えているからです。

見た目の改善治療は、美容に当てはまります。

保険診療は病気の治療を対象としているので、美容治療は保険診療で受けられないからです。

 

噛み合わせの異常は病気だから

お気づきになった方もいらっしゃるかもしれませんが、先に挙げた3つの条件にはすべて”噛み合わせの異常”という言葉がついています。

厚生労働省の条件には、正しくは”咬合異常”と記されているのですが、いずれにしても、歯並びの異常、歯列不正とは書かれていません。

噛み合わせが悪い、すなわち食べ物をしっかり噛めないという状態は、生きていく上で欠かせない栄養をしっかり摂ることができません。

このため、噛み合わせの異常は病気とみなされ、その治療は保険診療で受けるべきであるというわけです。

 

全身の成長発育にも影響するから

3つの条件に当てはまる噛み合わせの異常は、そのまま放置していると、食べ物をしっかり噛めなくなり、発音も不明瞭になります。

このため、全身の成長発育に大きな障害をもたらすだけでなく、社会生活においても悪影響を及ぼします。

こうした理由から、保険診療で治さなくてはならない病気として認められているわけです。

 

保険診療で矯正治療ができる歯科医院について

先ほど、保険診療で矯正治療が受けられるケースについてご紹介しました。

ところが、該当するからといって、どこの歯科医院でも矯正治療を保険診療でしてもらえるかというとそうではありません。

保険診療で矯正治療を受けるには、歯科医院側にも条件があります。

①厚生労働省が定めた施設基準に合っていること。

②地方の厚生局長に届出がなされていること

こちらは、受診した歯科医院でお尋ねになるといいでしょう。

 

医療費控除について

子供の矯正治療には保険診療を使うことはかなり難しいですが、医療費控除なら受けられます。

 

医療費控除とは

医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費を所得金額から差し引く仕組みで、所得税と住民税が安くなります。

支払った医療費が10万円を超えた場合に、超えた金額を所得金額から引くことができ、最高200万円まで認められています。

ただし、セルフメディケーション税制を利用する場合には医療費控除は適用できないのでご注意ください。

 

矯正治療と医療費控除

矯正治療と医療費控除について、対象になるかどうかの判断基準を国税庁では発表しています。

そこでは、「発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正」は医療費控除の対象になるとしています。

子供の矯正治療が、見た目を良くするためではなく、子供が成長発育の過程で正しい噛み合わせを得ることを目的としている場合、医療費控除を受けることができるというわけです。

保険診療で小児矯正を受けるのは難しいですが、医療費控除なら受けられる可能性が高いので、ぜひご検討ください。

 

まとめ

今回は、子供の矯正治療と保険診療についてお話ししました。

子供の矯正治療を保険診療で受けることもできなくはないですが、

①永久歯が3本以上生えてこないことによる噛み合わせの異常

②厚生労働大臣が定めた病気によって生じた噛み合わせの異常

③顎変形症による噛み合わせの異常

以上の3つの条件のいずれかに当てはまる場合に限られています。

いずれも非常にレアなケースなので、子供の矯正治療も、原則的に大人の矯正治療と同じく保険診療は使えない、自費診療と考えていただく方が良いと思われます。

当院でも、ご相談いただけますので、もし気になる方は、気軽にご相談ください。

 



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