抜歯なしでの矯正治療の可能性を高める矯正装置・ペンデュラム

[2023年03月14日]

こんにちは

矯正治療では、歯を並べるスペースが足りない場合、しばしば抜歯することで、並べなければならない歯並びのサイズを小さくし、歯を並べます。

しかし、なるべく健康な歯を抜くことなく、歯並びを整えたい方の方が多いと思います。

抜歯のリスクを下げる方法はいくつかありますが、その一つにペンデュラムという矯正装置を使った矯正治療があります。

ペンデュラムは、子供の矯正治療である小児矯正で使われる矯正装置ですが、あまり聞き慣れないのではないかと思います。

そこで今回は、ペンデュラムという矯正装置を使った小児矯正についてご紹介します。

 

ペンデュラムについて

まず、ペンデュラムという矯正装置についてご紹介します。

 

ペンデュラムとは

ペンデュラムは、奥歯を後ろに移動させるために使う矯正装置です。

奥歯を大きく後ろに移動させることで、奥歯より前の歯をきれいに並べるためのスペースを確保します。

矯正装置は、歯に接着する固定式矯正装置と、取り外しが容易な可撤式矯正装置の2種類に分けられますが、ペンデュラムは前者の固定式矯正装置に分類されます。

 

構造

ペンデュラムは、金属パーツとプラスチックパーツで作られています。

金属パーツは、バンド、ペンデュラムスプリングという金属製のワイヤー、ペンデュラムスプリングと別の数本のワイヤーです。

プラスチックパーツは、レジンボタンとよばれる半透明の赤色の床です。

ペンデュラムスプリングは、金属製のバンドに設けられたシースという小さなスロットに通すようにしてくっつけられています。

 

仕組み

奥歯の金属製のバンドから伸びている金属製のワイヤーは、ループが設けられた複雑な構造をしており、弾力性が発揮できるようになっています。

そして、プラスチック製の床の部分は、奥歯を後ろに動かすための支えとなります。

床の部分を支えとし、金属ワイヤーの弾力性を利用して奥歯を後方に移動させる仕組みです。

 

ペンデュラムを使うメリット

まず、ペンデュラムを使って歯並びを整えるメリットからご説明します。

 

奥歯を後ろに移動させられる

成長期にあるお子さんにペンデュラムを使って矯正治療を行うと、奥歯が確実に移動できます。

 

抜歯の必要性を大幅に減らせる

矯正治療で抜歯が必要になる理由は、歯を並べるためのスペースが足りないことです。

並べたい歯の幅を全て足した数と、歯を並べるスペースを比べて、スペースの方が小さいと歯を並べられません。

そこで、抜歯することで歯の幅の合計値を小さくして、歯を並べやすくするというわけです。

ところが、お子さんのなんともない健康な歯を抜歯することに抵抗感のある人も多いです。

ペンデュラムを使えば、奥歯を後ろに移動させられるので、歯を並べるスペースの方を広げられるので、抜歯しなくても歯並びをきれいに整えられる可能性が高まります。

 

側方拡大も可能

ペンデュラムの効果は、奥歯を後ろに移動させるだけではありません。

スクリューという矯正装置を組み合わせれば、顎の横幅も広げられる可能性もあります。

 

目立ちにくい

ペンデュラムは、上顎の歯の内側につける矯正装置です。

歯の内側につけるので、ペンデュラムをつけていてもほとんど見えないほど目立ちません。

なお、金属バンドは歯につけるため、表側に少し見えますが、最も奥と言ってもいい位置なのでほとんど見えません。

 

ペンデュラムを使うデメリット

ペンデュラムにはメリットだけでなく、デメリットもあります。

 

違和感が出る

ペンデュラムは、上顎の内側のレジンボタンという床の部分やさまざまなワイヤーが舌に触れるので、食べたり、話したりするときに下があたり、違和感が生じやすいです。

ただし、ペンデュラムの違和感は、使用している間ずっと続くわけではなく、数日から1週間程度で慣れてくる場合がほとんどです。

 

歯磨きが難しくなる

ペンデュラムは、金属バンドを歯に接着する固定式の矯正装置です。

取り外しできる可撤式矯正装置のように、ご自身で取り付けたり、取り外したりできません。

しかも、複雑な構造をしており、食べ物が挟まりやすくなっています。

このため、歯磨きをしっかりしなければならないのですが、構造上、歯磨きも難しいです。

 

大人には効果が出にくい

ペンデュラムは、子供の成長発育を利用して、奥歯を後ろに移動させる矯正装置です。

大人の方でも使えなくはありませんが、大人の場合は成長発育が終わっているので、ほとんど効果は期待できません。

大人の方が、奥歯を後ろに移動させる場合には、インプラント矯正など違う方法を選ぶ方が良いでしょう。

 

まとめ

今回は、ペンデュラムという矯正装置を使った小児矯正についてご紹介しました。

ペンデュラムは、お子さんの成長発育を利用して、奥歯を後ろに移動させる矯正装置です。

ペンデュラムを使えば、

①奥歯を後ろに移動させられる

②抜歯せずに歯並びをきれいに整えられる可能性が高まる

③目立ちにくい

などの利点が得られます。

特に、健康な歯を抜歯せずに、歯並びを整えることをご希望になっている方には、特に効果の高い矯正治療といえます。

当院は、お子さんの矯正治療の専門知識だけでなく、さまざまな奨励を通しての豊富な治療経験を持つ歯科医院です。

もし、できるだけ抜歯の可能性を低くする矯正治療をしたいという方は、当院でぜひご相談ください。



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