生えぬなら生やしてみせよう永久歯

[2023年04月22日]

こんにちは

私たちの歯は、乳歯から永久歯へと1度だけ生え変わります。

ところが中には、生え変わりがスムーズにいかず、永久歯が埋まったままなかなか生えてこないということがあります。

もし、永久歯が埋まったままになっていたとしても心配ありません。

埋まったままの永久歯であっても、きちんと生えさせることができます。

今回は、埋まった永久歯を生えさせる方法についてお話しします。

 

永久歯が埋まったままになる原因

乳歯が抜けた後、しばらく経っても永久歯が生えてこない場合や適切な時期に永久歯に生え替わらない場合、いくつかの原因が考えられます。

 

乳歯の晩期残存

乳歯の晩期残存とは、乳歯が生え変わる適切な時期を過ぎても抜けず、残ったままになっている状態です。

永久歯が生えてこようとするのを乳歯が邪魔する形になるため、乳歯の晩期残存は永久歯が乳歯の横から生えてきたり、埋まったままになったりする原因になります。

 

過剰歯

過剰歯は、正常よりも多い余分な歯のことです。

乳歯での過剰歯は稀で、永久歯がほとんどです。

発生頻度は上顎の前歯部が最も多く、上顎の奥歯と続きます。

永久歯の歯冠のあたりに過剰歯があると、過剰歯が永久歯が生えてこようとするのを邪魔してしまうので、永久歯が埋まったままになってしまいます。

 

歯牙腫

歯牙腫は、小さな歯のような組織や石灰化物という塊がたくさんできる良性腫瘍です。

これから生えてこようとする永久歯の歯冠のあたりに歯牙腫は生じることが多いです。

歯冠の部分に歯牙腫ができていると、永久歯が生えてこようとするのを歯牙腫が邪魔するので、永久歯が埋まったまま生えてくることができなくなります。

 

嚢胞

嚢胞とは、内部が液体で満たされた出来物のことです。

出来物というと腫瘍が連想されますが、腫瘍は内部が液体ではないので、その点で異なります。

お口の中でも嚢胞はしばしば認められます。

歯の生え変わりに関係する嚢胞としては、含歯性嚢胞が挙げられます。

これは永久歯の歯冠部分を覆うようにできる嚢胞です。

含歯性嚢胞ができると歯冠が嚢胞で覆われるため、永久歯が生えてこれなくなります。

 

歯肉の厚みの異常

歯肉の厚みが正常よりも厚くなった状態を歯肉の肥厚といいます。

乳歯が抜けた後、そこの歯肉の厚みが肥厚した状態になっていると、永久歯が硬い歯肉を破ることができず、生えてこれないことがあります。

 

歯の位置の異常

歯は、顎の骨の中で歯胚という組織から作られます。

言い換えると歯胚は、歯の卵のようなものといっても間違いないでしょう。

歯胚の位置が何らかの原因でずれてしまうと、真っ直ぐ歯が生えてくることができなくなります。

場合によっては、顎の骨の中に埋まったままになることも多いです。

 

歯の根の異常

歯の根が異常に曲がった歯を歯根湾曲歯(しこんわんきょくし)といいます。

歯は、まず歯冠ができます。

その後、歯根ができるにつれて歯冠を押し上げるようにして生えてくるため、永久歯の歯根が曲がっていると、きちんと生えてくることができません。

歯の根が曲がってしまう原因は、前歯部の打撲などの外傷が大半を占めます。

このため、歯根湾曲歯は、打撲しやすい上顎の前歯の永久歯に見られることが多いです。

なお、歯根が90度以上曲がっている場合は、どうやっても生えさせることはできないので、抜歯になります。

 

歯が埋まったままになっているときの対応策

永久歯が埋まったまま生えてこないときの処置をご説明します。

 

原因歯の抜歯術

乳歯の晩期残存や過剰歯が原因で永久歯が生えてこれないと考えられる場合は、それらの歯を抜歯し、永久歯が生えるのを邪魔するものを取り除きます。

邪魔な歯を抜歯するだけで永久歯がきれいに生えてくることも珍しくありません。

 

開窓術

開窓術とは、歯肉を切開して埋まったままの歯を出す処置です。

こう書くと大変な手術のように思われるかもしれませんが、外来で局所麻酔でできる手術です。

開窓術だけで永久歯が出てくると予想される場合は、歯肉の切開だけをおこないます。

一方、歯肉の切開だけでは不十分と考えられる場合は、埋まった歯を牽引して良い位置にまで動かします。

開窓術は、歯肉の肥厚、歯の位置異常、歯の根の異常などによって永久歯が生えてこない場合の処置に適応があります。

 

嚢胞摘出術

含歯性嚢胞が原因で永久歯が生えてこない場合は、開窓するだけでは、永久歯は生えてこれません。

そこで、原因となっている嚢胞を摘出します。

嚢胞摘出術は歯肉を開窓した後、嚢胞を摘出しますので、開窓術とセットで行われる処置です。

嚢胞摘出術も開窓術と同じく、外来で局所麻酔で受けられます。

 

まとめ

今回は、永久歯がでてこないときの処置についてお話ししました。

永久歯が生えこれない原因としては、

①乳歯の晩期残存

②過剰歯

③歯牙腫

④嚢胞

⑤歯肉の厚みの異常

⑥歯の位置の異常

⑦歯の根の異常

などが挙げられます。

これらに対する処置は

①原因歯の抜歯

②開窓術

③嚢胞摘出術

などです。

当院では、埋まったまま生えてこれない永久歯の専門知識や治療経験の豊富な歯科医院です。

もし、お子さんの永久歯がなかなか生えてこないとお悩みになっている方は、当院でぜひご相談ください。

 



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