甘いものと虫歯の関係と予防策

[2026年10月21日]

◯はじめに

「甘いものは虫歯の原因」という説明は、間違いではありません。砂糖などの糖は、虫歯ができる主な要因の1つです。

ただし、虫歯になるかどうかは、甘いものを食べた量だけでは決まりません。食べる頻度や唾液の働き、歯垢の付着状態なども関係します。この記事では、お菓子を控えているのに虫歯ができる理由と、毎日の生活で取り入れたい予防策を見ていきましょう。

◯目次

  • ◯甘いものが虫歯の原因になる仕組み
  • ◯甘いものを控えても虫歯になる理由
  • ◯虫歯を防ぐために続けたい3つの対策
  • ◯まとめ:甘いものと虫歯の関係を知り食べ方とケアを見直そう

◯甘いものが虫歯の原因になる仕組み

虫歯は、歯の表面に付着した歯垢(プラーク)の中の細菌が糖を利用して酸を作り、歯の表面からミネラル成分が溶け出すことで始まります。

◆細菌が糖から歯を溶かす酸を作る

歯の表面につく歯垢は、細菌が集まったものです。歯垢の中の細菌は、飲食物に含まれる砂糖などを利用して酸を作ります。

酸の影響で、歯の表面を覆うエナメル質からカルシウムなどが溶け出す変化が「脱灰」です。甘いものが直接歯を溶かすというより、糖を利用する細菌の働きが関わっています。

そのため、「細菌が原因なのだから、砂糖を控えても意味がない」とは言えません。糖を摂りすぎないことは、虫歯予防の大切な柱です。

なお、キシリトールのように、虫歯を起こす酸の材料にならない甘味料もあります。甘さだけで虫歯のなりやすさが決まるわけではありません。

◆再石灰化が追いつかないと虫歯が進む

唾液には、酸を中性に近づけ、歯から失われた成分を補う働きがあります。この働きを「再石灰化」と呼びます。脱灰と再石灰化のバランスが保たれていれば、歯の表面からミネラルが溶け出しても、すぐに虫歯が進行するわけではありません。

ところが、糖を含む飲食物を頻繁に摂取すると、歯が酸にさらされる機会が増えます。再石灰化が追いつかない状態が続くことが、虫歯の進行につながるのです。

厚生労働省のe-ヘルスネットでも、砂糖の総量と摂取回数の両方を減らすことが重視されています。「量より回数」と考えて一方だけに注目するのではなく、どちらも振り返ってみましょう。

◯甘いものを控えても虫歯になる理由

お菓子を控えていても、飲み物から糖を摂っていたり、歯垢が残りやすい場所があったりすると、虫歯はできることがあります。

◆お菓子以外の飲食物にも糖が含まれる

加糖のコーヒーや紅茶、スポーツドリンクなどにも糖が含まれています。仕事中に少しずつ飲み続ける習慣は、見直したい点の1つです。

また、はちみつや果汁100%のジュースに含まれる糖も、虫歯の原因に関わります。WHOは、調理や製造で加える糖と、はちみつや果汁などに含まれる糖を「遊離糖類」と呼び、摂取を減らすよう勧めています。「天然由来だから歯に影響しない」とは言えません。

甘さをあまり感じないパンやクラッカーに含まれるでんぷんも、唾液などの働きによって糖に分解され、虫歯の原因菌が酸を作る材料になることがあります。ただし、虫歯の起こしやすさは食品によって異なります。味だけで判断せず、飲食の内容と回数を合わせて確認しましょう。

◆唾液の量や歯垢の付着状態でも差が出る

唾液が少なくなると、酸を中和したり歯の再石灰化を促したりする働きが弱まり、虫歯のリスクが高まります。お口の乾燥が続く場合は、服用している薬や病気が関わっている可能性にも注意が必要です。

また、歯と歯の間や奥歯の溝、詰め物の周囲などは、歯垢が残りやすい場所です。毎日磨いていても、歯ブラシが届きにくい部分に虫歯ができることがあります。

同じように甘いものを食べている方でも、唾液や口腔ケアの状態は異なります。ほかの方と比べるより、ご自身のお口で何が起きているかを知ることが大切です。

◯虫歯を防ぐために続けたい3つの対策

食べ方の見直しに、フッ化物を使った歯磨きと歯科医院での定期的なチェックを組み合わせましょう。

◆おやつの量と食べる時間を決める

お菓子を袋から直接つまんで食べ続けるのではなく、食べる分を小皿に出すと量を把握しやすくなります。おやつの時間を決める、食後のデザートとして取るなど、糖を口にする回数を増やさない工夫が大切です。

飴を続けてなめる習慣や、甘い飲み物を手元に置いて長時間飲む習慣も振り返りましょう。普段の水分補給を水や無糖のお茶に替えることも、糖を減らす方法です。

食後にまとめれば、量を気にせず食べてよいわけではありません。就寝中は唾液の分泌が減るため、寝る前の歯磨きを済ませた後は、糖を含む飲食物を控えてください。

◆フッ化物配合の歯磨き剤を使う

フッ化物は、一般に「フッ素」と呼ばれる歯磨き剤の成分です。歯の再石灰化を助け、虫歯を予防する働きがあります。

国内4学会が2023年に発表した推奨では、6歳以上はフッ化物濃度が1400〜1500ppmの歯磨き剤を使用し、成人の場合は歯ブラシ全体に1.5〜2cm程度つけることが目安とされています。ppmは濃度を示す単位です。製品にある1450ppmなどの表示を目印にしてください。

就寝前を含めて1日2回磨き、歯磨き剤は軽く吐き出します。すすぐ場合は少量の水で1回にとどめる方法が推奨されています。子どもに使う場合は、年齢に合った濃度と量を確認しましょう。

◆歯の間も清掃し歯科医院で状態を確認する

歯ブラシだけでは清掃しにくい歯と歯の間には、フロスや歯間ブラシを使います。ご自身の歯の隙間に合う道具や動かし方を、歯科医院で教わるとよいでしょう。

定期的な受診では、虫歯の有無とともに、磨き残しや唾液の状態も確認してもらいましょう。よく飲むものや間食の時間を伝えると、生活に合った予防方法を考える手がかりになります。

初期の虫歯には、痛みがない場合もあります。甘いものを食べると歯がしみる、歯に穴が見えるなどの変化があれば、予定の健診を待たずに相談してください。歯に穴が開いた場合は、甘いものを控えるだけで元の状態に戻ることはありません。虫歯の進行度によって適切な対応が異なるため、歯科医院で状態を確認してもらいましょう。

◯まとめ:甘いものと虫歯の関係を知り食べ方とケアを見直そう

甘いものに含まれる糖は、虫歯の原因に関わります。予防には、糖の摂取量と摂取回数を減らし、フッ化物配合の歯磨き剤や歯間清掃を取り入れることが大切です。

まずは、普段のおやつと飲み物を振り返ってみましょう。毎日ケアをしていても虫歯を繰り返す方は、唾液や磨き残しの状態を歯科医院で確認し、ご自身に合った予防方法を見つけましょう。



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